2011-01-25   思考  
寒いと早足になりますよね。

最近とみに寒いので、今、人類の歩行速度が一番速い季節です。
本当に最速です。
己の為に走る、みたいな良く解らんモチベーションではなくて、この場合は、ほら、はやく暖かいところへ行きたい! という生物的な、古い部分の脳が命令している何かですから、本気ですよ。本気で歩いてます。

この状況での歩く速度というのがその人が持っている最高速なんじゃないの。

だから、朝、駅までの道で女の人に抜かれたとき、めちゃくちゃショックで。スーパーの前で完全に刺された。
俺の本気が。俺の本気があっさりと。

彼女の背格好は俺より小さい。
それなのに、着実に離されていく。

あれ何でしょうね。競歩とか詳しくないんで知らないんですけど、歩幅と回転数のちょうどいい塩梅があるんでしょうね。
多分、彼女は、そのバランスが良いんだわ。
そうなったらこっちも、歩幅と回転数をいじるしかないじゃないですか。

ひとつは、回転数を犠牲にして、歩幅を大きくするパターン。
もう一つは、歩幅を小さくして、回転数を上げるパターン。

どっちが有効なんだろうか。
考えろ。考えろ俺。

おそらく、彼女は、回転数重視のチューニングタイプを採用している。
ここに同じく回転数で真っ向勝負を仕掛けるのも良いけど、それは相手の土俵で勝負することになってしまう。
それよりも、ここは相手に出来ない方法、歩幅で稼いだほうが、何か起こりそうな気がする。勝機もあるんじゃないか。

ということで、歩幅重視のチューニングを採用しました。

足をいつもより半歩先へ着地。
足を遠くへ着地するのが思うようにいかないので、頭の中であしながおじさんをイメージする。
俺はあしながおじさん。俺はあしながおじさん。あしながおじさんだったら足を遠くに置く。
遠くに置いた分、体重移動にかなりの負担がかかるけれど、そこは頑張るしかない。

女の人とあしながおじさんの距離は、開くことはなくなりました。
これは行ける! もうすこし前へ! もうすこしあしのながいおじさんをイメージするんだ!

しっかし、あっちも速い。本気で速い。
ここでふと思ったのは、もしかしたら、これはハナから勝てる試合ではないのかも知れない、ということ。

「寒さ」という、人体に対する危機的状況が、この歩行速度を生み出している。
ここで、もし、人それぞれ感じる「寒さ」が違うとしたら。
もし、彼女が、俺の2倍の寒さを感じているとしたら。
女の人は寒がりだとはるか昔習ったことがある。もしそうならば、そもそもの積んでるエンジンが違うのだ。彼女は、寒さを喰らっているのだから。
俺が10サムーのエンジンでヤンヤン走ってるところを、彼女は20サムーのエンジンでガンガンすっ飛ばしてるのです。

変なモッコモコのボアにふんわりと包まれた俺は、勝てるわけが無いのです。
ダメだ。俺は絶対この人を抜くことはできないだろう。俺は、負けたのだ。
あしなが戦法では、後ろにくっついていくことが精一杯でした。

そのまま順位は変動することなく、駅の改札口へ。

完敗でした。

女の人は、その速度を保ったまま、券売機の前へ。定期を買いはじめました。

えー。あー。えー。もしかして、定期買うから急いでたの?


あと、後ろずーっとついてきたものだから、うっかりすぐ後ろで止まってしまい、そこでハアハア言ってたので、「何なの?」みたいな顔で見られました。

髪の長い男の人でした。

グッドモーニング!








2011-01-18   思考  
仕事帰りにカフェに寄ったら高校生が勉強してた。そんな時期だわ。

男の子と女の子が、椅子をひとつ開けて座ってた。隣に座ったらいいのに。
多分学校は違う。塾が一緒なのかな。
女の子はおそらく男の子に好意を持っていて、「クラスに仲いい女の子居るの?」「気になる子居るの?」みたいな話を振ってるんだけど、男の子が「いや、俺いったんこう仲良くなっちゃうと全然そういう風に見れないんだよね」と。

これは、よくよく考えると、今まさにしゃべっている女の子に対しての発言でもあってね。
男の子は、たまにとても残酷な爆弾を落とすんだぜ。

AとBがつきあうためには、仲良くならなければならない。
しかし、仲良くなると、AはBを恋愛の集合から外してしまう。
AとBがつきあう方法を示せ。

(2011年 恋愛大学)


先生! この問題は解けません!
あれですよ。こんなもん。問題間違ってますよ。

女の子はそのあと黙ってしまって。
そのあと、男の子は「そろそろ帰るわ」と言って帰り支度をはじめた。
「帰らないの?」と言うと、女の子は、「わたしもうちょっとやってくから」と。
えー! 一緒に帰れよー! もうー! えー!? どうすんのそれ。えー!?

点Aが点Hに向かって移動している。
点Bは原点で静止している。
点Aと点Bが交わる方法を示せ。

(2011年 恋愛大学)


先生! この問題は解けません!


点Bは、点Aが出発して2分後に原点を出発した。
だったら一緒に出発しろよ。

タリーズさん、本日のコーヒーは苦いです。




2011-01-17   思考  
ふと冷蔵庫の野菜室を覗いたら、肉が居た。





イヤーーーーーー!!!
野菜室でキャイのキャイのやってたのに、野菜以外が入ってきた。もうパニック。
野菜の花園に男子がポーンて入ってきた。キャアアアア!!!!

嫁は、すぐこういうことをする。

例えばカブトムシとクワガタ一緒に飼うと大変なことになるじゃないですか。
トラウマなのは、小学生くらいかな、近所で捕まえてきたカブトムシとクワガタを一緒に入れたところ、一晩でカブトムシの首と胴が離れていた。

こっちはさあ、昨日捕まえて興奮さめやらない状態でこう、虫かごを覗くじゃないですか。
そこに、カブトムシの変わり果てた姿が。イヤーーーーー!!!

おはか作りましたよ。カブトムシの。
いやあ、しかしクワガタつええな、と。
じゃんけんでチョキを多用するようになったのもこの頃から。

何の話でしたっけ。野菜ですよ。

野菜室に肉が入ってきたら、そりゃケンカになりますわ。
でまあ、力としては肉のほうが強いんですけど、ここは野菜室ですからね。
野菜が最大のパフォーマンスを発揮する世界。ギャバンで言うところの幻夢界ですよ。
最終的に、ゴボウあたりにボッコボコにされます。

カレーにしたとき、イマイチこうパッサパサだったのは、野菜にやられたんだと思う。
つらい思いをしたんでしょう。

まあ、一番悪いのは、野菜の花園に肉を放流した嫁です。

今日もチョコの箱の空いた隙間にせんべい入れてた。





チョコの箱にせんべいなんか入れたらせんべいが殺されちゃう!







2011-01-05   思考  
鏡開きの思い出が他の人と違う。

小学校の頃空手を習ってたんですけど、道場には毎年めちゃくちゃでかい鏡餅がお供えしてあった。
で、鏡開きの日には、みんなで道場に集まって、餅を割るんですけど、あの、空手道場なので、まあ、拳でね、割るんですよ。

ただまあ、カッピカピの餅は恐ろしく堅い。つきたての状態と真逆すぎて笑う。
真逆以上かもしれない。あれなんでしょうね。つきたてのふわふわ餅とカッピカピ餅の2つのアイテムを錬成すると、文鎮あたりが出来そうな気がする。若干、堅さが生かされた感じで。つきたてのふわふわ感でも、あのカッピカピは抑えられない。

で、そう。餅がね、めちゃくちゃでかくて堅いので、多分大人が本気で拳で突いても一発では割れない。
なので、皆で餅の前に列を作って、順番に突いていく。

俺みたいなもんには確実に撃ち抜けないので、本気で突くと手首を痛めてしまう。
なので、「エーイ!」とか声だけ張りつつ、力はほどほどに抑える。
一回、チョロ松と呼ばれていた小学生が、本気で餅に挑んで、指を骨折した。
餅怖い! 餅の怖さは喉に詰まるだけじゃない!

割れないので、何周も何周も回る。拳から血が出始めて、餅がうっすらピンク色に色づき始めた頃、成人部の人がだんだん本気出し始めて、何回目かに「パリーン!」といく。

それをおしるこにして食べる。血のところと、カビで緑色になったところは、婦人部のひとたちが丁寧に取り去ってくれるので、大きな鏡餅だったわりに、食べるところが非常に少ない。

そんなのが俺の鏡開き。

なので、嫁と「ねえ、鏡開きとかする?」みたいな話になったとき、一瞬、「え、道着どうしよう」ってなった。
そのあと瞬時に多分俺の知ってる鏡開きは一般的な鏡開きじゃないと悟ったけれど、じゃあ一般的な鏡開きはどうなのか、と言われるとそこがすべて欠落している。普通は何で割るの? 餅に血はつかないの? 2人で割れるかな?
空手道場のおかげで、鏡開きの情報がまるっと別のものに置き換わってて、先ほどまで気づかなかった。

あの道場の悪行はほかにもあって、節分あたりも怪しい。節分と言えば鬼になった者が全員と総当たりで組み手をやるんだけど、実はみんなはやってないんじゃないかな。

最後鬼は絶対泣かされる。高校生でも泣いてた。
だって最後先生出てきてボッコボコにするんだもん。

人間「鬼は外! ドゴーン!」

鬼「ウ、ウェェ……」

どっちが鬼だか分かったもんじゃない。




こんなのも書いたよ。



2010-12-24   思考  
引っ越して3年経ちました。

引っ越し欲は常にあるんだけど、今の住処に不満があるとかではなく、わりと気にいってます。
物件の探し方として、地域で古くからやってる不動産屋へ出向いて、いろいろ出して貰うのが一番良いらしいですね。今のとこ探すのに初めてそれ試したけど、やっぱ正解でした。

ワーワーやったあげく、最後に「分譲にしようと思ってたけど正面にガソリンスタンドを作られてしまって売れなさそうだったから急遽賃貸にした物件」みたいなのを紹介されました。

分譲用だっただけあって、ドアがちゃんとしてるし、防音がすごい良い。隣の部屋の音が聞こえたことがない。
たまに上の階の人が夜中になんか落とすくらい。一回その音にびっくりして目覚まし時計落とした。2連鎖。一階までこの連鎖が続くと全消しでアパート消える。消えると困る!!!!!

それはいいんだけど、そう。その、分譲をあきらめた原因となった正面のガソリンスタンドの煩さがどんなもんか、みたいなのは、住んでみないと分からないのである意味博打だったんですけど、結果、言うほどでもないというか。
いやまあ、窓を開ければ、ガソリンスタンドのお兄さんの「あっしゃーす!」みたいのがうすーく聞こえるけど、まあ。全然気にならないし。
たまにバイクが発進するときの「ブイーン!」って音が気になるくらい。でもめったにない。

いや全然いいよ。この値段でこのクオリティなら全然いい。
完全に賭けに勝った!

まあ、そんな物件なのですが。
ただ、ここへ引っ越してから、しばらくの間ものすごく不安になったことがあって。
なんかねー、人の出入りが多すぎる。

誰かが引っ越していくのをまあよく見かける。
玄関のところに引っ越し業者が居ると、「あれ、またか」って。

個人的にものすごく満足度が高かったので、人がバンバン引っ越していくのを見ると、「えっ何? 何で何で?」って。
怖いじゃないですか。人が出て行く家って。

もしかして、俺の知らない何か欠陥があるのか。確かにリビングの引き戸の立て付けがちょっと悪い。歪んでいるといえば歪んでいるんだろう。だからなの? 崩壊するの? 昔話題になった耐震偽装物件とかのリストに載ってたりして?
とかいろいろ考えて、マンション名で検索したりしてちょっと調べたりしたんだけど、まあ、そんな情報もなく。

で、ずっともやもやしてたんですけど、しばらくして、特定の部屋が出たり入ったりしているだけなことに気づく。102号室。102号室はエレベーターの前なので毎日その前を通るんだけど、良く床の塗り替えをやってる。そんな塗ったら床どんどん厚くなるんじゃなかろうか。長い年月を経て水滴が石を刳り貫くように、床が天井にくっつく日が来るのではないだろうか。

で、そう、102号室。そういう目線で見れば、出て行く理由はすぐ分かりました。リビングの窓をあけると、完全にゴミ捨て場なんです。やあ、これはきっついと思うよ。っていうかきっついわ。50戸分の廃棄物が庭に集まる部屋。
生ゴミの日とか特に、窓開けられないでしょ。あと、窓開けなくても、換気扇回すと隙間から空気入ってくるじゃないですか。多分臭いんじゃないかなー。

っていうかですよ。そんなもん、内覧したら分かりそうなもんですよ。窓開けたらゴミ捨て場がでーん! ってある。分かるじゃないですか。洗濯物一生外で干せないですよ?

多分この部屋は他の部屋より安いんだけど、いくら他より安くても、普通は敬遠する。でも入居者は後を絶たず、しかもさ、なんだろ、納得して入ったんだからちょっとくらい住み続ければいいのに、みんなすぐ出てくので、えー! って思う。なんという想像力の無さよ。

102号室に一瞬でも入居したひとたちを一同に集めて、座談会みたいのやりたい。
なぜ当時やっていけると判断したのか、みんなで話し合う。
あと最短で脱出した人をみんなで蹴る。

一方で、102に隣接する103号室もおそらく似たような環境なんだけど、こっちは多分ずっと同じ人が住んでる。
筋が通っていてかっこいい。一度決めたら、辞めない。
これはモテる。モテるが、部屋は臭い。







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