たまに自動販売機に100円入れて突き返されるじゃないですか。で、そのあともう一回入れると入ったりする。
あのときの自販機どんな気持ちだろう。「おいおい、ふざけてんの? お金って知ってる? 貧乏人はドブ水でも飲んでろよな! ほら返すぜ、チャリ〜ン!」みたいな態度でつっかえしたけどよくよく見たらお金だった。ヒャー。恥ずかしい! 俺だったらその場に立ってらんない。逃げる。「あ、爽健美茶そろそろ無いなー」とか言って取りに行くふりして逃げる。
自販機は逃げられない。足が無いから。
もうそうなったら完全に不感症のフリするしかない。だんまりを決め込むしかない。ムスッと。ムスッとしてる温度であたたか〜いが維持されてる。こんな感じで自販機の心の殻は厚くなっていくのではないでしょうか。
なんかそんなこと考えてたら、そういえば昔の自販機はもうちょっと人懐っこかった気がする。
「また来てね!」「あたりが出たよ! おめでとう!」みたいなことをべらべら喋った気がする。髪型を変えたこと一番に気づいてくれたのも自販機だった気がするし、参観日、どうしても都合のつかない母の代わりに自販機が来てくれたことがあった気がする。
昔の自販機には心があった。
小学校の頃、算数の授業で桃ジュースが必要になった。たしかこう液体を分けるのを紙コップ使って体感する授業で、俺が桃ジュースの担当になって。当時桃ジュースといえば(今も?)不二家のネクター一択だったんだけど、これが何故か売ってない。まあ、田舎なので店は2つくらいしかなくて、そこに無ければ無い。
別に桃ジュースである必要は全然なかったんです。教科書に「ももジュースをみんなにわけます」って書いてあるだけで、別に水で良かった。
まあ、なんか、あとでジュース飲んで楽しい! みたいな演出考えてたんでしょうね。そのジュースが無い。やばい、どうしよう。うちの班だけ水飲むことになる。まゆみちゃんに殺される。まゆみちゃんに、殺される。
そんなとき、家の裏の工場に自販機があったことを思い出しました。
家の裏は古い糸工場でした。黒光りした木造平屋の建物はいつも小刻みに揺れていて、奥からガンラガンラと糸を撚る音。ただ、もう結構前に廃業していて、工場は立入禁止になっていました。
自販機も撤去されているだろうか。期待せずにつっかけを履いて工場の玄関口へ回る。もう夕闇が迫っていて薄暗かったけれど、自販機は煌々とそこにありました。しかもネクター売ってる。「ありがとうございました! また来てね!」と自販機。こちらこそ、ありがとう。
算数の授業は案の定最後にみんなでジュース飲んでシャンシャンシャンで終わりました。まゆみちゃんは、おいしそうにジュースを飲みました。
で、ちょっと経ったあと、友達と遊んでて、なんかまたネクターが飲みたくなってみんなで廃工場へ行ったんだけど、あの自販機が、ボロッボロになってる。ジュースの缶が陳列されているところは割られていて、コイン入れるところにはプルタブが詰まってた。
しかも、本体が錆び付いていて、どうみても、これ、昨日今日の仕業じゃないの。長いこと放置されて、いたずらされた感じの。
あれ、俺ほんとにここでネクター買ったんだっけ。
今考えると、これは、自販機の霊が困ってる少年にネクター売ってあげた話です。
っていう文章を昨日アップしたんですけど、あ、ここから追記ですけど、ほんのさっき息子が高熱出たので早朝に救急外来行ってきたんです。
まあ薬もらって落ち着いて、息子はスヤスヤ寝始めたので(主に我々が)グッタリして帰ってきたんですけど、なんか甘いものを欲したので家の近くのダイドーの自販機ではじめてジュース買った。
「ありがとうございました! いってらっしゃい!」
今帰ってきたんだよ。自販機はやっぱ黙れ。
あのときの自販機どんな気持ちだろう。「おいおい、ふざけてんの? お金って知ってる? 貧乏人はドブ水でも飲んでろよな! ほら返すぜ、チャリ〜ン!」みたいな態度でつっかえしたけどよくよく見たらお金だった。ヒャー。恥ずかしい! 俺だったらその場に立ってらんない。逃げる。「あ、爽健美茶そろそろ無いなー」とか言って取りに行くふりして逃げる。
自販機は逃げられない。足が無いから。
もうそうなったら完全に不感症のフリするしかない。だんまりを決め込むしかない。ムスッと。ムスッとしてる温度であたたか〜いが維持されてる。こんな感じで自販機の心の殻は厚くなっていくのではないでしょうか。
なんかそんなこと考えてたら、そういえば昔の自販機はもうちょっと人懐っこかった気がする。
「また来てね!」「あたりが出たよ! おめでとう!」みたいなことをべらべら喋った気がする。髪型を変えたこと一番に気づいてくれたのも自販機だった気がするし、参観日、どうしても都合のつかない母の代わりに自販機が来てくれたことがあった気がする。
昔の自販機には心があった。
小学校の頃、算数の授業で桃ジュースが必要になった。たしかこう液体を分けるのを紙コップ使って体感する授業で、俺が桃ジュースの担当になって。当時桃ジュースといえば(今も?)不二家のネクター一択だったんだけど、これが何故か売ってない。まあ、田舎なので店は2つくらいしかなくて、そこに無ければ無い。
別に桃ジュースである必要は全然なかったんです。教科書に「ももジュースをみんなにわけます」って書いてあるだけで、別に水で良かった。
まあ、なんか、あとでジュース飲んで楽しい! みたいな演出考えてたんでしょうね。そのジュースが無い。やばい、どうしよう。うちの班だけ水飲むことになる。まゆみちゃんに殺される。まゆみちゃんに、殺される。
そんなとき、家の裏の工場に自販機があったことを思い出しました。
家の裏は古い糸工場でした。黒光りした木造平屋の建物はいつも小刻みに揺れていて、奥からガンラガンラと糸を撚る音。ただ、もう結構前に廃業していて、工場は立入禁止になっていました。
自販機も撤去されているだろうか。期待せずにつっかけを履いて工場の玄関口へ回る。もう夕闇が迫っていて薄暗かったけれど、自販機は煌々とそこにありました。しかもネクター売ってる。「ありがとうございました! また来てね!」と自販機。こちらこそ、ありがとう。
算数の授業は案の定最後にみんなでジュース飲んでシャンシャンシャンで終わりました。まゆみちゃんは、おいしそうにジュースを飲みました。
で、ちょっと経ったあと、友達と遊んでて、なんかまたネクターが飲みたくなってみんなで廃工場へ行ったんだけど、あの自販機が、ボロッボロになってる。ジュースの缶が陳列されているところは割られていて、コイン入れるところにはプルタブが詰まってた。
しかも、本体が錆び付いていて、どうみても、これ、昨日今日の仕業じゃないの。長いこと放置されて、いたずらされた感じの。
あれ、俺ほんとにここでネクター買ったんだっけ。
今考えると、これは、自販機の霊が困ってる少年にネクター売ってあげた話です。
っていう文章を昨日アップしたんですけど、あ、ここから追記ですけど、ほんのさっき息子が高熱出たので早朝に救急外来行ってきたんです。
まあ薬もらって落ち着いて、息子はスヤスヤ寝始めたので(主に我々が)グッタリして帰ってきたんですけど、なんか甘いものを欲したので家の近くのダイドーの自販機ではじめてジュース買った。
「ありがとうございました! いってらっしゃい!」
今帰ってきたんだよ。自販機はやっぱ黙れ。
こんなのも書いたよ。