2013-06-24   思考  
息子の偏食がすごい。

もともと警戒心が強くて、新しい食べ物はちょっとずつ口に入れ、べろーんと出すのを繰り返し、それを数分繰り返して、納得がいくと「食べ物」と認定する。息子による超難関試験をクリアした者だけが、晴れて食べ物株式会社の社員となり、息子のおなかに入ることを許されるのだ。

それが2歳前くらいまで。そうやって、だんだんと社員は増えていったのですが、もうちょっと進むと、いわゆる「こだわり」が出てくる。
あれ? みたいな。あれ? これ、何かちがくね? みたいな。

で、今、どんどん削られている。
あああ……。せっかく増えてきた社員が次々にリストラされていく……。

いやたしかに、切られても仕方ない食べ物もあるんですよ。
息子、ちょっと前まで、トマトスープをがつがつ食べてたんです。野菜ゴロッゴロ入ったやつ。
食べるから作るけども、正直何で食べてんのか不明で。いつ気づくかなーと思ってた。
食べなくなった日は、「あ、来たか……」と、結構冷静に受け止めることができた。
そういうのじゃなくて、こう、なんか、ほんと、ガンガン切ってくの。

もずく、茶碗蒸し、焼き魚、卵焼き、ポテト。
おお、いくねー! ばっさばっさいくねー!
食べてたじゃーん。おいしそうに食べてたじゃーん!

この前、遂に、ソーセージが肩たたきにあった。
「キミ、アシタカラ、コナクテイイカラ」
ざわつく社内。まさかソーセージ部長までやられるとは!

ソーセージ部長、絶対自分は無いと思ってたよ。だってソーセージですよ? ソーセージ嫌いな子供って何? えー? 何? じゃあ何食うのよ? 逆にねじとか食べんのかな。あげないけど。あげたらなんか、逮捕みたいな法律あるんでしょ? 法律怖い怖い!

それはいいんですけど、あの、嫁がね、その、魚肉ソーセージを、そのときだけ、切って出してたことに気づいた。
いつもは、こう、長いまま、かじって食べてるのね。
で、ちょっと思うところがあって、新しいやつを、長いまま、まるごと出してみたんですって。

そしたら、食べる。

何なんだ。ふつう気づかないよ。ハードモードすぎるだろ。
ソーセージは長いもの、みたいなのがあるのか。
ちぎったやつは何か違う、みたいな。

まあ、分からんでも無いか。というかよく考えるとそういうのすごくある。

味の好き嫌いって、何に基づいてるのか分からない時がある。
そもそも「好き」「嫌い」という感情が、何に基づいているのか非常に説明しづらい。君は何故この女性が好きか。論理的に説明することもできなくもない。小説や歌でさんざん語られているので、フレームワークとしての語る言葉を多く持っている。でも、感情をしっかり言葉に移植できているかは別で、だから、頭では好きでも感情的に受け付けなかったり、そういう矛盾が起こる。

味の好き嫌いに関しては、そもそも語る言葉が少ないのでさらにハードルが高い。
例えば俺はカレーが好きすぎるんだけど、何でカレーが好きか、には答えられる気がしない。や、きっかけは大学に貧食っていうカレーばっか出す食堂があってそこでカレーばっか食べてたらカレー食べないと死ぬ体になった、とかはあるけど、それはきっかけであって、好きな理由ではない。

なぜ人はカレーが好きか、という問いに科学的に答えるときによく言われるやつで「油と辛さを人は本能的に求めて中毒性があるから」というのがある。まあ、本能って言われちゃったらそうなのかもしれないけど、全然納得がいかない。それなら食べるラー油でいいじゃん。あ、食べるラー油うまいな。そうか。え、そうなの? 違うわ、全然納得いかない。
俺は辛いモノがそんなに好きじゃない。辛いラーメンとか、ホント無理。何やってんのって思う。辛い鍋とかも好きじゃない。

それなのに、和風カレー好きの延長で、激辛のインドカレーを食べ歩くし、好きだと思ってる。
「本当に、おぬしはインドカレーが好きか?」と変なターバン巻いた象に聞かれると、え、どうなんだろう、と立ち止まってしまう。辛いの無理して食ってやしないか。「矛盾してるゾウ〜!」と言われたら返す言葉が無い。無理矢理返すとしたら、象とゾウをかけたダジャレ部分に絞って攻撃をかけるしかない。

味の好みなんて、曖昧なものなのかもしれない。好きと思えば好きだし、嫌いと思えば嫌い。
風邪で味覚がわけわからなくなってるとき、よりどころは、「これは僕の好きな○○である」という記憶であったり、視覚的な情報であったり、そういうものであったりする。自分のカレーに立ち返ると、インドカレーで口がバカになりながら「うん、カレーは旨い」と常に確認している。ほんとに味が分かってるのかは怪しい気がしてきた。

だから、そう、まだ好き嫌いが曖昧な幼児が、視覚的な「長いソーセージはおいしい」という記憶に頼るのって、普通にありえる。
そのくらい、味の好みって曖昧。

たまに長崎皿うどん食べに行く。
あれに、酢を死ぬほどかけて食べるのが好き。

で、その日も豪快に皿うどんの酢漬けを作っていたんだけど、あの、白菜とかの葉物を口にほおばっているときに、あれ、って。
あれ、これ、漬け物の味じゃね? って。皿うどん本来のしょっぱいたれに、酢をどばどばかけた葉物が、完全に、漬け物の味だ、ってことに気づいて、漬け物をほおばっている俺、みたいな感覚にうえってなって、もう、だめね。いや、漬け物はそんなに嫌いじゃないんだけど、そんなに量食べられないじゃないですか。もう漬け物だもん。漬け物焼きそばだもん。気持ち悪いでしょ、漬け物焼きそば。頼む? 漬け物焼きそば。俺は頼まない。 俺は頼んだ覚えは無い。や、自分が完全に悪いんだけど。

ごめんと言って、とぼとぼと漬け物屋を後にする。

いや〜危うい。危ういわ! 味の好みってめちゃくちゃ危うい。
味覚としての刺激以外で決まってる部分が、多すぎるのだ。

振り返れば、一時期マクド食べれなかったの、目の前でハンバーガー食べてた女の子が吐いたからだったなあ、とか、ネギぬたを無理矢理食べさせられてうえってなって、未だに食べれないなあ、とか、そういうのを思い出す。

なので、息子の偏食も、こう、良いイメージがつけば食べるんだろうな、的な長い目で見ることにしている。
分かる、分かるよ! お父ちゃん分かるよ! 長〜いソーセージが好きってインプットしたんだもんな。
長〜いソーセージおいしいよな!


最近、遂に、長〜いソーセージも食べなくなった。
今までありがとうございました、部長。








前後に書いたやつ。
三菱東京カズヨシUFJ銀行[2013-07-30]
鼻毛と風邪とライフログ[2013-04-02]
このサイトについて。
ヤスノリさんが適当にあることないことを書くサイトです。1997年11月からあります。現在Ver.3です。詳しいのはこちら

書いてるものとか、出てるものとか

オモコロのライターやったりやらなかったりしてます。
特集一覧
日記一覧


今日の商品 というしょうもない企画がはじまりました。

オフ喜利4は7月14日(土)・新宿ロフトプラスワン!
「オフ喜利」というオンラインでテキスト書いてる人はオフラインでも面白いのかを検証する大喜利イベントをやってます。新宿ロフトプラスワンで不定期開催中。


オフ喜利のDVDが出てます。送料込み980円ダス

週刊アスキーの大喜利コーナー「Web0.2」。オフ喜利メンバーと連載中です。(ただいまヤスノリは休業中)

WEB0.2 頑固親父が威厳をなくした寝言の内容とは?
で、その悪ふざけが本になりました。あっぱれか喝かで言ったら間違いなく喝。

オモコロ! あたまゆるゆる大全
オモコロ本出ました。



あわせて読みたいブログパーツ