息子の偏食がすごい。
もともと警戒心が強くて、新しい食べ物はちょっとずつ口に入れ、べろーんと出すのを繰り返し、それを数分繰り返して、納得がいくと「食べ物」と認定する。息子による超難関試験をクリアした者だけが、晴れて食べ物株式会社の社員となり、息子のおなかに入ることを許されるのだ。
それが2歳前くらいまで。そうやって、だんだんと社員は増えていったのですが、もうちょっと進むと、いわゆる「こだわり」が出てくる。
あれ? みたいな。あれ? これ、何かちがくね? みたいな。
で、今、どんどん削られている。
あああ……。せっかく増えてきた社員が次々にリストラされていく……。
いやたしかに、切られても仕方ない食べ物もあるんですよ。
息子、ちょっと前まで、トマトスープをがつがつ食べてたんです。野菜ゴロッゴロ入ったやつ。
食べるから作るけども、正直何で食べてんのか不明で。いつ気づくかなーと思ってた。
食べなくなった日は、「あ、来たか……」と、結構冷静に受け止めることができた。
そういうのじゃなくて、こう、なんか、ほんと、ガンガン切ってくの。
もずく、茶碗蒸し、焼き魚、卵焼き、ポテト。
おお、いくねー! ばっさばっさいくねー!
食べてたじゃーん。おいしそうに食べてたじゃーん!
この前、遂に、ソーセージが肩たたきにあった。
「キミ、アシタカラ、コナクテイイカラ」
ざわつく社内。まさかソーセージ部長までやられるとは!
ソーセージ部長、絶対自分は無いと思ってたよ。だってソーセージですよ? ソーセージ嫌いな子供って何? えー? 何? じゃあ何食うのよ? 逆にねじとか食べんのかな。あげないけど。あげたらなんか、逮捕みたいな法律あるんでしょ? 法律怖い怖い!
それはいいんですけど、あの、嫁がね、その、魚肉ソーセージを、そのときだけ、切って出してたことに気づいた。
いつもは、こう、長いまま、かじって食べてるのね。
で、ちょっと思うところがあって、新しいやつを、長いまま、まるごと出してみたんですって。
そしたら、食べる。
何なんだ。ふつう気づかないよ。ハードモードすぎるだろ。
ソーセージは長いもの、みたいなのがあるのか。
ちぎったやつは何か違う、みたいな。
まあ、分からんでも無いか。というかよく考えるとそういうのすごくある。
味の好き嫌いって、何に基づいてるのか分からない時がある。
そもそも「好き」「嫌い」という感情が、何に基づいているのか非常に説明しづらい。君は何故この女性が好きか。論理的に説明することもできなくもない。小説や歌でさんざん語られているので、フレームワークとしての語る言葉を多く持っている。でも、感情をしっかり言葉に移植できているかは別で、だから、頭では好きでも感情的に受け付けなかったり、そういう矛盾が起こる。
味の好き嫌いに関しては、そもそも語る言葉が少ないのでさらにハードルが高い。
例えば俺はカレーが好きすぎるんだけど、何でカレーが好きか、には答えられる気がしない。や、きっかけは大学に貧食っていうカレーばっか出す食堂があってそこでカレーばっか食べてたらカレー食べないと死ぬ体になった、とかはあるけど、それはきっかけであって、好きな理由ではない。
なぜ人はカレーが好きか、という問いに科学的に答えるときによく言われるやつで「油と辛さを人は本能的に求めて中毒性があるから」というのがある。まあ、本能って言われちゃったらそうなのかもしれないけど、全然納得がいかない。それなら食べるラー油でいいじゃん。あ、食べるラー油うまいな。そうか。え、そうなの? 違うわ、全然納得いかない。
俺は辛いモノがそんなに好きじゃない。辛いラーメンとか、ホント無理。何やってんのって思う。辛い鍋とかも好きじゃない。
それなのに、和風カレー好きの延長で、激辛のインドカレーを食べ歩くし、好きだと思ってる。
「本当に、おぬしはインドカレーが好きか?」と変なターバン巻いた象に聞かれると、え、どうなんだろう、と立ち止まってしまう。辛いの無理して食ってやしないか。「矛盾してるゾウ〜!」と言われたら返す言葉が無い。無理矢理返すとしたら、象とゾウをかけたダジャレ部分に絞って攻撃をかけるしかない。
味の好みなんて、曖昧なものなのかもしれない。好きと思えば好きだし、嫌いと思えば嫌い。
風邪で味覚がわけわからなくなってるとき、よりどころは、「これは僕の好きな○○である」という記憶であったり、視覚的な情報であったり、そういうものであったりする。自分のカレーに立ち返ると、インドカレーで口がバカになりながら「うん、カレーは旨い」と常に確認している。ほんとに味が分かってるのかは怪しい気がしてきた。
だから、そう、まだ好き嫌いが曖昧な幼児が、視覚的な「長いソーセージはおいしい」という記憶に頼るのって、普通にありえる。
そのくらい、味の好みって曖昧。
たまに長崎皿うどん食べに行く。
あれに、酢を死ぬほどかけて食べるのが好き。
で、その日も豪快に皿うどんの酢漬けを作っていたんだけど、あの、白菜とかの葉物を口にほおばっているときに、あれ、って。
あれ、これ、漬け物の味じゃね? って。皿うどん本来のしょっぱいたれに、酢をどばどばかけた葉物が、完全に、漬け物の味だ、ってことに気づいて、漬け物をほおばっている俺、みたいな感覚にうえってなって、もう、だめね。いや、漬け物はそんなに嫌いじゃないんだけど、そんなに量食べられないじゃないですか。もう漬け物だもん。漬け物焼きそばだもん。気持ち悪いでしょ、漬け物焼きそば。頼む? 漬け物焼きそば。俺は頼まない。 俺は頼んだ覚えは無い。や、自分が完全に悪いんだけど。
ごめんと言って、とぼとぼと漬け物屋を後にする。
いや〜危うい。危ういわ! 味の好みってめちゃくちゃ危うい。
味覚としての刺激以外で決まってる部分が、多すぎるのだ。
振り返れば、一時期マクド食べれなかったの、目の前でハンバーガー食べてた女の子が吐いたからだったなあ、とか、ネギぬたを無理矢理食べさせられてうえってなって、未だに食べれないなあ、とか、そういうのを思い出す。
なので、息子の偏食も、こう、良いイメージがつけば食べるんだろうな、的な長い目で見ることにしている。
分かる、分かるよ! お父ちゃん分かるよ! 長〜いソーセージが好きってインプットしたんだもんな。
長〜いソーセージおいしいよな!
最近、遂に、長〜いソーセージも食べなくなった。
今までありがとうございました、部長。
もともと警戒心が強くて、新しい食べ物はちょっとずつ口に入れ、べろーんと出すのを繰り返し、それを数分繰り返して、納得がいくと「食べ物」と認定する。息子による超難関試験をクリアした者だけが、晴れて食べ物株式会社の社員となり、息子のおなかに入ることを許されるのだ。
それが2歳前くらいまで。そうやって、だんだんと社員は増えていったのですが、もうちょっと進むと、いわゆる「こだわり」が出てくる。
あれ? みたいな。あれ? これ、何かちがくね? みたいな。
で、今、どんどん削られている。
あああ……。せっかく増えてきた社員が次々にリストラされていく……。
いやたしかに、切られても仕方ない食べ物もあるんですよ。
息子、ちょっと前まで、トマトスープをがつがつ食べてたんです。野菜ゴロッゴロ入ったやつ。
食べるから作るけども、正直何で食べてんのか不明で。いつ気づくかなーと思ってた。
食べなくなった日は、「あ、来たか……」と、結構冷静に受け止めることができた。
そういうのじゃなくて、こう、なんか、ほんと、ガンガン切ってくの。
もずく、茶碗蒸し、焼き魚、卵焼き、ポテト。
おお、いくねー! ばっさばっさいくねー!
食べてたじゃーん。おいしそうに食べてたじゃーん!
この前、遂に、ソーセージが肩たたきにあった。
「キミ、アシタカラ、コナクテイイカラ」
ざわつく社内。まさかソーセージ部長までやられるとは!
ソーセージ部長、絶対自分は無いと思ってたよ。だってソーセージですよ? ソーセージ嫌いな子供って何? えー? 何? じゃあ何食うのよ? 逆にねじとか食べんのかな。あげないけど。あげたらなんか、逮捕みたいな法律あるんでしょ? 法律怖い怖い!
それはいいんですけど、あの、嫁がね、その、魚肉ソーセージを、そのときだけ、切って出してたことに気づいた。
いつもは、こう、長いまま、かじって食べてるのね。
で、ちょっと思うところがあって、新しいやつを、長いまま、まるごと出してみたんですって。
そしたら、食べる。
何なんだ。ふつう気づかないよ。ハードモードすぎるだろ。
ソーセージは長いもの、みたいなのがあるのか。
ちぎったやつは何か違う、みたいな。
まあ、分からんでも無いか。というかよく考えるとそういうのすごくある。
味の好き嫌いって、何に基づいてるのか分からない時がある。
そもそも「好き」「嫌い」という感情が、何に基づいているのか非常に説明しづらい。君は何故この女性が好きか。論理的に説明することもできなくもない。小説や歌でさんざん語られているので、フレームワークとしての語る言葉を多く持っている。でも、感情をしっかり言葉に移植できているかは別で、だから、頭では好きでも感情的に受け付けなかったり、そういう矛盾が起こる。
味の好き嫌いに関しては、そもそも語る言葉が少ないのでさらにハードルが高い。
例えば俺はカレーが好きすぎるんだけど、何でカレーが好きか、には答えられる気がしない。や、きっかけは大学に貧食っていうカレーばっか出す食堂があってそこでカレーばっか食べてたらカレー食べないと死ぬ体になった、とかはあるけど、それはきっかけであって、好きな理由ではない。
なぜ人はカレーが好きか、という問いに科学的に答えるときによく言われるやつで「油と辛さを人は本能的に求めて中毒性があるから」というのがある。まあ、本能って言われちゃったらそうなのかもしれないけど、全然納得がいかない。それなら食べるラー油でいいじゃん。あ、食べるラー油うまいな。そうか。え、そうなの? 違うわ、全然納得いかない。
俺は辛いモノがそんなに好きじゃない。辛いラーメンとか、ホント無理。何やってんのって思う。辛い鍋とかも好きじゃない。
それなのに、和風カレー好きの延長で、激辛のインドカレーを食べ歩くし、好きだと思ってる。
「本当に、おぬしはインドカレーが好きか?」と変なターバン巻いた象に聞かれると、え、どうなんだろう、と立ち止まってしまう。辛いの無理して食ってやしないか。「矛盾してるゾウ〜!」と言われたら返す言葉が無い。無理矢理返すとしたら、象とゾウをかけたダジャレ部分に絞って攻撃をかけるしかない。
味の好みなんて、曖昧なものなのかもしれない。好きと思えば好きだし、嫌いと思えば嫌い。
風邪で味覚がわけわからなくなってるとき、よりどころは、「これは僕の好きな○○である」という記憶であったり、視覚的な情報であったり、そういうものであったりする。自分のカレーに立ち返ると、インドカレーで口がバカになりながら「うん、カレーは旨い」と常に確認している。ほんとに味が分かってるのかは怪しい気がしてきた。
だから、そう、まだ好き嫌いが曖昧な幼児が、視覚的な「長いソーセージはおいしい」という記憶に頼るのって、普通にありえる。
そのくらい、味の好みって曖昧。
たまに長崎皿うどん食べに行く。
あれに、酢を死ぬほどかけて食べるのが好き。
で、その日も豪快に皿うどんの酢漬けを作っていたんだけど、あの、白菜とかの葉物を口にほおばっているときに、あれ、って。
あれ、これ、漬け物の味じゃね? って。皿うどん本来のしょっぱいたれに、酢をどばどばかけた葉物が、完全に、漬け物の味だ、ってことに気づいて、漬け物をほおばっている俺、みたいな感覚にうえってなって、もう、だめね。いや、漬け物はそんなに嫌いじゃないんだけど、そんなに量食べられないじゃないですか。もう漬け物だもん。漬け物焼きそばだもん。気持ち悪いでしょ、漬け物焼きそば。頼む? 漬け物焼きそば。俺は頼まない。 俺は頼んだ覚えは無い。や、自分が完全に悪いんだけど。
ごめんと言って、とぼとぼと漬け物屋を後にする。
いや〜危うい。危ういわ! 味の好みってめちゃくちゃ危うい。
味覚としての刺激以外で決まってる部分が、多すぎるのだ。
振り返れば、一時期マクド食べれなかったの、目の前でハンバーガー食べてた女の子が吐いたからだったなあ、とか、ネギぬたを無理矢理食べさせられてうえってなって、未だに食べれないなあ、とか、そういうのを思い出す。
なので、息子の偏食も、こう、良いイメージがつけば食べるんだろうな、的な長い目で見ることにしている。
分かる、分かるよ! お父ちゃん分かるよ! 長〜いソーセージが好きってインプットしたんだもんな。
長〜いソーセージおいしいよな!
最近、遂に、長〜いソーセージも食べなくなった。
今までありがとうございました、部長。
嫁がママさんたちのツイッターをよく見てるんだけど、出産後数分でツイートしてる人が居たらしい。
何それ。まあ、あ、まずはおめでとう。おめでとうだけれども、何それ。いや、あの、おめでとう。おめでとうだし、全然ツイートして頂いて良いんだけども、なんか、すごいなーって。そもそも物理的な問題として、生んですぐにツイッターできるの?
オギャーオギャーってなってるときに、生まれたなう、みたいなのを打ち込む余裕はあるのか。2人目とかだとあるのかなー。
まあ一個考えたのは、もう「生まれたなう」みたいなのを下書きにしておいて、生まれたー! ってときに、それを呼び出す。でもなんかそれは粋じゃないよな。
それか、旦那とかに携帯を渡しておいてツイートしてもらう。
でも、そこまでして……やるか? という疑問が残る。
ああ、最近のスマホならね、音声でツイートできるから、打ち込む必要はないのか。
「生まれた、ハアハア、なう……」「ギャーン! ギャーン!」「はい切ったとこ縫いますねー」みたいな周りの音声までツイートされたり、そういうの。臨場感があって良いですよね。そういうのも。
それかもうアレ? そういう部屋。ツイート専用ルーム。
なんか最近、個人医院とかだと、分娩室がすごい凝ってるとことかあって、うちが行ってたとこも、なんか、こう、でっかいモニターとライトがあって、お産の進行具合にあわせて4種類の光と音楽が〜みたいなやつだったんですけど、けっこうすんなり生まれちゃったもんだから、なんか同じやつがずーっと流れてて、処置終わってけっこう経ったあとに看護師が「あっ」みたいな感じで「生まれたモード」に切り替えて、「これ一応うちの目玉だから見て帰ってね」みたいな。見ねえよ。子供見るよ。
それはいいや。そう、ツイッターに対応した分娩室なんてのも、あるかもしれないですよね。
お母さんの発言や状態は、係の人が瞬時にツイートしてくれる。
ミニプラネタリウムみたいなドームの分娩室で、本人宛の励ましツイートが部屋一面に流れていく。ニコファーレみたいな感じ。
「ひろっぺ頑張れ! りっぱな跡継ぎを生むんじゃぞwww」
「ヒッヒッフー、ヒッヒッフー!」
「お金持ちになる方法を知りたくありませんか? http://t.co/unko」
「ひろっぺが母親になるの!? なんか感動しちゃう!」
あっなんか今通ったね、みたいな。
こういうのまざるから。目視でチェック入れないとこういうのまざるから。そこはなんだろ、係の人に頑張ってもらって。
あとフォロワーが少ないお母さんの場合には場つなぎ的に定型文が流れる。
「案ずるより、産むが易し。昔の人は良いことを言ったものだ。」
「案ずるより、産むが易し。昔の人は良いことを言ったものだ。」
「ひろっぺがんばれー! 痛いの今だけだからね!」
「案ずるより、産むが易し。昔の人は良いことを言ったものだ。」
定型文が何回も流れてちょっと残念な気持ちになったりする。
何の話でしたっけ。お産に向けてフォロワー増やしとけっていう話でしたっけ。
まあ忘れましたけど、この流れでいくと、Ustreamでお産中継、みたいなのも絶対誰かやりますよね。Ustお産駄目なのかな? 動物はあったよ?
「20:00〜ひろっぺのお産チャンネル」みたいな感じで告知してて、さてお産でも見ようかな、なんつって視聴者がね、買ってきたビールあけて、日本代表のユニフォームに着替えて、いや応援だから、一応応援だからね、そう、着替えて、パソコンつけて繋げたらもう誰もいなくてふとんだけずーっと映ってる、みたいな。お産早まっちゃったりするから。赤ちゃんは空気読まないですから。
で、なんだよー、って。ビール開けちゃったよー、なんて言って、この気分の高まりみたいなやつはどこにぶつけたらいいんだろう、って、嫁さんとよろしくやって子供を産んだらいいんじゃないでしょうか。
何それ。まあ、あ、まずはおめでとう。おめでとうだけれども、何それ。いや、あの、おめでとう。おめでとうだし、全然ツイートして頂いて良いんだけども、なんか、すごいなーって。そもそも物理的な問題として、生んですぐにツイッターできるの?
オギャーオギャーってなってるときに、生まれたなう、みたいなのを打ち込む余裕はあるのか。2人目とかだとあるのかなー。
まあ一個考えたのは、もう「生まれたなう」みたいなのを下書きにしておいて、生まれたー! ってときに、それを呼び出す。でもなんかそれは粋じゃないよな。
それか、旦那とかに携帯を渡しておいてツイートしてもらう。
でも、そこまでして……やるか? という疑問が残る。
ああ、最近のスマホならね、音声でツイートできるから、打ち込む必要はないのか。
「生まれた、ハアハア、なう……」「ギャーン! ギャーン!」「はい切ったとこ縫いますねー」みたいな周りの音声までツイートされたり、そういうの。臨場感があって良いですよね。そういうのも。
それかもうアレ? そういう部屋。ツイート専用ルーム。
なんか最近、個人医院とかだと、分娩室がすごい凝ってるとことかあって、うちが行ってたとこも、なんか、こう、でっかいモニターとライトがあって、お産の進行具合にあわせて4種類の光と音楽が〜みたいなやつだったんですけど、けっこうすんなり生まれちゃったもんだから、なんか同じやつがずーっと流れてて、処置終わってけっこう経ったあとに看護師が「あっ」みたいな感じで「生まれたモード」に切り替えて、「これ一応うちの目玉だから見て帰ってね」みたいな。見ねえよ。子供見るよ。
それはいいや。そう、ツイッターに対応した分娩室なんてのも、あるかもしれないですよね。
お母さんの発言や状態は、係の人が瞬時にツイートしてくれる。
ミニプラネタリウムみたいなドームの分娩室で、本人宛の励ましツイートが部屋一面に流れていく。ニコファーレみたいな感じ。
「ひろっぺ頑張れ! りっぱな跡継ぎを生むんじゃぞwww」
「ヒッヒッフー、ヒッヒッフー!」
「お金持ちになる方法を知りたくありませんか? http://t.co/unko」
「ひろっぺが母親になるの!? なんか感動しちゃう!」
あっなんか今通ったね、みたいな。
こういうのまざるから。目視でチェック入れないとこういうのまざるから。そこはなんだろ、係の人に頑張ってもらって。
あとフォロワーが少ないお母さんの場合には場つなぎ的に定型文が流れる。
「案ずるより、産むが易し。昔の人は良いことを言ったものだ。」
「案ずるより、産むが易し。昔の人は良いことを言ったものだ。」
「ひろっぺがんばれー! 痛いの今だけだからね!」
「案ずるより、産むが易し。昔の人は良いことを言ったものだ。」
定型文が何回も流れてちょっと残念な気持ちになったりする。
何の話でしたっけ。お産に向けてフォロワー増やしとけっていう話でしたっけ。
まあ忘れましたけど、この流れでいくと、Ustreamでお産中継、みたいなのも絶対誰かやりますよね。Ustお産駄目なのかな? 動物はあったよ?
「20:00〜ひろっぺのお産チャンネル」みたいな感じで告知してて、さてお産でも見ようかな、なんつって視聴者がね、買ってきたビールあけて、日本代表のユニフォームに着替えて、いや応援だから、一応応援だからね、そう、着替えて、パソコンつけて繋げたらもう誰もいなくてふとんだけずーっと映ってる、みたいな。お産早まっちゃったりするから。赤ちゃんは空気読まないですから。
で、なんだよー、って。ビール開けちゃったよー、なんて言って、この気分の高まりみたいなやつはどこにぶつけたらいいんだろう、って、嫁さんとよろしくやって子供を産んだらいいんじゃないでしょうか。
こんなのも書いたよ。
子供と遊んでいると子供の目線でワーキャーはしゃぐことが多々あるのですが、子供が居なくなった途端にスッと我に返る、親あるある。
息子(1歳半)とお風呂に入ると、おふろにボールやらおもちゃやら空き瓶やらをこれでもかってくらいに浮かべて遊ぶんですけど、あの、息子がおふろ出るって言うから、嫁に来て貰って子供を渡すじゃないですか。
で、なんだ、10数えて、お風呂ばいばーい! また明日ねー! って嫁と子供はあっちへ行って、さて、私はもうちょっと温まろうかねえ、なんつって湯船に戻って、ふと周りを見渡すと、おもちゃに囲まれている。なんだこれ。
子供居なくなると、これらおもちゃとのつきあい方が完全に分からなくなる。何なんだお前ら。何なんだよ。
真顔で片付けます。完全に真顔ですね。さっきまで「ワンワーン! ジャー!」とか言って遊んでたワンワンのジョウロの水を真顔で捨て、カラフルなボールを真顔で手早く回収する。回収作業員と化す。
この間公園へ行ったんですけど、あの、滑り台をね、やりたいっていうから、滑り台の階段を登って、こう、抱きかかえる感じですべろうとしたんです。
そしたら、俺たちの前にすべってた子が、多分3歳くらいなんですけど、「カンカンカンカン!」って踏切の真似をして、コースに手を出している。うちの息子はまだよく分かってないらしくそれには反応していないので、あ、ここは俺が反応するべきだな、と思って、「わー、踏切が閉まったぞー! 開いたら行こうねー!」なんて言ってね。
そしたら、その踏切の子のお父さんも乗ってきて、「カンカンカン!」って、反対サイドから手を出してきた。まあ、踏切って両サイドからバー下がってくるからね。リアルリアル。その、お父さんってのが、俺よりけっこう年上で、あ、会社だと確実に怖い部長だな、って感じの。怖い部長が、「カンカンカン!」って手を出してきている。へえ、休日は良いパパなんだー。平日知らんけども。この動画撮って会社にばらまいたら陰でカンカン部長って呼ばれて、新人が「なんであの部長カンカン部長って呼ばれてるんですか? いつも怒ってるから?」みたいな質問すると「違う違う、この動画見る?」みたいなことになるかな、なんて想像しつつ、踏切が開くのを待つ。
そしたら、子供のほうが、突然踏切を放棄した。
子供ってそういうとこあるから。ぷいっとどっか行ってしまった。
取り残されるカンカン部長。
「カンカンカン……」
既に真顔に戻っているカンカン部長がカンカン言いながら踏切を開けてくれたので、俺は「わー、開いたぞー!」とか言って、すべる。
カンカン部長と俺がふみきりごっこで楽しく遊んだっていう話でした。
またあそぼうね〜!
息子(1歳半)とお風呂に入ると、おふろにボールやらおもちゃやら空き瓶やらをこれでもかってくらいに浮かべて遊ぶんですけど、あの、息子がおふろ出るって言うから、嫁に来て貰って子供を渡すじゃないですか。
で、なんだ、10数えて、お風呂ばいばーい! また明日ねー! って嫁と子供はあっちへ行って、さて、私はもうちょっと温まろうかねえ、なんつって湯船に戻って、ふと周りを見渡すと、おもちゃに囲まれている。なんだこれ。
子供居なくなると、これらおもちゃとのつきあい方が完全に分からなくなる。何なんだお前ら。何なんだよ。
真顔で片付けます。完全に真顔ですね。さっきまで「ワンワーン! ジャー!」とか言って遊んでたワンワンのジョウロの水を真顔で捨て、カラフルなボールを真顔で手早く回収する。回収作業員と化す。
この間公園へ行ったんですけど、あの、滑り台をね、やりたいっていうから、滑り台の階段を登って、こう、抱きかかえる感じですべろうとしたんです。
そしたら、俺たちの前にすべってた子が、多分3歳くらいなんですけど、「カンカンカンカン!」って踏切の真似をして、コースに手を出している。うちの息子はまだよく分かってないらしくそれには反応していないので、あ、ここは俺が反応するべきだな、と思って、「わー、踏切が閉まったぞー! 開いたら行こうねー!」なんて言ってね。
そしたら、その踏切の子のお父さんも乗ってきて、「カンカンカン!」って、反対サイドから手を出してきた。まあ、踏切って両サイドからバー下がってくるからね。リアルリアル。その、お父さんってのが、俺よりけっこう年上で、あ、会社だと確実に怖い部長だな、って感じの。怖い部長が、「カンカンカン!」って手を出してきている。へえ、休日は良いパパなんだー。平日知らんけども。この動画撮って会社にばらまいたら陰でカンカン部長って呼ばれて、新人が「なんであの部長カンカン部長って呼ばれてるんですか? いつも怒ってるから?」みたいな質問すると「違う違う、この動画見る?」みたいなことになるかな、なんて想像しつつ、踏切が開くのを待つ。
そしたら、子供のほうが、突然踏切を放棄した。
子供ってそういうとこあるから。ぷいっとどっか行ってしまった。
取り残されるカンカン部長。
「カンカンカン……」
既に真顔に戻っているカンカン部長がカンカン言いながら踏切を開けてくれたので、俺は「わー、開いたぞー!」とか言って、すべる。
カンカン部長と俺がふみきりごっこで楽しく遊んだっていう話でした。
またあそぼうね〜!
いやー、やらしい大人になったなあ、と思ってしまった。
今は一人別の会社に常駐しているんですけど、仕事はじめに、一応、本社に寄ったんですわ。で、あのー、先輩とかにね、あけましておめでとうございます、あけましておめでとうございます、と壊れたステレオのように繰り返したわけですが、あのー、課長がね、喪中だったんですよ。
で、課長を目の前にして、喪中だからこりゃ「あけましておめでとうございます」じゃねーな、と、俺のインテリジェント脳は一瞬にして判断したわけですよ。
そこまでは良かった。で、素直に「おはようございます」って言えばいいわけですけど、俺のインテリジェント脳はちょっとやらしかった。もしここで、普通に「おはようございます」って言ったら、なんか、本当に新年ってことを忘れて「おはようございます」って言ってるみたいじゃないですか。これは、なんか損だ。ただの気の利かない奴だと思われたらどうしよう、みたいな。
で、こう、無意識にやったことが、「えっと、あ、おはようございます」って。なんだろ、考えておはようございますにしたんだよっていう、なんかそういう間をあけて。
やらしいやらしい。「えっと、あ、おはようございます」だって。やらしい。思い出すだけですげえムカムカする。そんな性根のいやらしい大人になった覚えはないんだけどなー。
こんな腐った俺ですが、最近、何故か子供に好かれる。
この前実家へ帰ったとき、近所へお年賀を置きに行ったんですけど、そこにね、その近所のうちの親戚の子、というのが、わんさか居たんですよ。で、子供だけで遊ぶのに飽きてたんでしょうね、俺の興味を引こうと必死なんですよ。俺、子供は嫌いじゃないんですけど、子供と遊ぶのは、実はそんなに好きじゃないんですよ。なんか気をいっぱい使うし。うまくないのにうまいねーとか言いたくない!
でも、子供たちは俺を仲間に引き入れようと、俺にボールぶつけたりしてくる。こらー! みたいにおいかけると、「ぎゃー!!」って逃げ回る。やべー完全に取り込まれてるじゃないか。やだ! 取り込まれたくない! もののけになったおっことぬしに取り込まれそうになったサンの気分ですよ。「やだ! もののけにはなりたくない!」みたいな。
あー、でも、子供ってたまに想像つかないことするから、リアルで笑うときがある。なんか、一人の子が、「ガンダムの絵を描いてあげるよ」と近づいてきたんです。「わー。描けるの? 描いて描いて」と、心裏腹に、一応盛り上がっておいたんですけど、そしたら、なんかザクを描き始めた。
で、頭と右腕を描ききったところで、なんだろ、明らかに、飽き始めたんですよ。なんか漫画ぱらぱら手でやったり、えんぴつコロコロ転がしたり。
俺ね、ちょっと意地悪く、「まだー?」って言ったんですよ。そしたら、左腕と胴体のところに、ギザギザを描いて、「できた。やられたザク」って。わー! 手抜きにもほどがある! 君はこれからの人生そうやって生きていくんだね! 君の将来が見える。なんだろ、すげえまずいラーメン開発して「チャレンジラーメン」とか名前つけて飄々としてるタイプの人になるよ。
で、長いこと子供の相手をしてたんですけど、なんだろ、そのうち、俺も楽しんでもいいだろ、みたいな気持ちになってきてね。
ムシキング、って知ってます? あの、今の子供たちは、ポケモンじゃなくてムシキングらしいですよ。で、まあ、そのムシキングの話になって、「俺の友達がムシキングの漫画描いてるよ」って、ちょっと、ウソを言ってみた。
「うそーまじでー!」「すげー!」
楽しい! すげえ、今、俺、楽しい!
そしたら、一人の子が、「(漫画の?)次どうなるの?」って聞いてきた。
「えっとねー、次は、死ぬね。いっぱい死ぬ」
「うおー!!」「うひょー!!」
楽しい! すげえ、今、俺、楽しい!
「あとニューキャラ出てくるよ」
「まじでー!!」「何ー!!」
「コメツキムシ。すごい攻撃力だよ」
「え、何それ」
しまった! 今の子たちはコメツキムシを知らない! 昔は土間とかに良く居たのになあ。ちょっと悲しくなった。
今は一人別の会社に常駐しているんですけど、仕事はじめに、一応、本社に寄ったんですわ。で、あのー、先輩とかにね、あけましておめでとうございます、あけましておめでとうございます、と壊れたステレオのように繰り返したわけですが、あのー、課長がね、喪中だったんですよ。
で、課長を目の前にして、喪中だからこりゃ「あけましておめでとうございます」じゃねーな、と、俺のインテリジェント脳は一瞬にして判断したわけですよ。
そこまでは良かった。で、素直に「おはようございます」って言えばいいわけですけど、俺のインテリジェント脳はちょっとやらしかった。もしここで、普通に「おはようございます」って言ったら、なんか、本当に新年ってことを忘れて「おはようございます」って言ってるみたいじゃないですか。これは、なんか損だ。ただの気の利かない奴だと思われたらどうしよう、みたいな。
で、こう、無意識にやったことが、「えっと、あ、おはようございます」って。なんだろ、考えておはようございますにしたんだよっていう、なんかそういう間をあけて。
やらしいやらしい。「えっと、あ、おはようございます」だって。やらしい。思い出すだけですげえムカムカする。そんな性根のいやらしい大人になった覚えはないんだけどなー。
こんな腐った俺ですが、最近、何故か子供に好かれる。
この前実家へ帰ったとき、近所へお年賀を置きに行ったんですけど、そこにね、その近所のうちの親戚の子、というのが、わんさか居たんですよ。で、子供だけで遊ぶのに飽きてたんでしょうね、俺の興味を引こうと必死なんですよ。俺、子供は嫌いじゃないんですけど、子供と遊ぶのは、実はそんなに好きじゃないんですよ。なんか気をいっぱい使うし。うまくないのにうまいねーとか言いたくない!
でも、子供たちは俺を仲間に引き入れようと、俺にボールぶつけたりしてくる。こらー! みたいにおいかけると、「ぎゃー!!」って逃げ回る。やべー完全に取り込まれてるじゃないか。やだ! 取り込まれたくない! もののけになったおっことぬしに取り込まれそうになったサンの気分ですよ。「やだ! もののけにはなりたくない!」みたいな。
あー、でも、子供ってたまに想像つかないことするから、リアルで笑うときがある。なんか、一人の子が、「ガンダムの絵を描いてあげるよ」と近づいてきたんです。「わー。描けるの? 描いて描いて」と、心裏腹に、一応盛り上がっておいたんですけど、そしたら、なんかザクを描き始めた。
で、頭と右腕を描ききったところで、なんだろ、明らかに、飽き始めたんですよ。なんか漫画ぱらぱら手でやったり、えんぴつコロコロ転がしたり。
俺ね、ちょっと意地悪く、「まだー?」って言ったんですよ。そしたら、左腕と胴体のところに、ギザギザを描いて、「できた。やられたザク」って。わー! 手抜きにもほどがある! 君はこれからの人生そうやって生きていくんだね! 君の将来が見える。なんだろ、すげえまずいラーメン開発して「チャレンジラーメン」とか名前つけて飄々としてるタイプの人になるよ。
で、長いこと子供の相手をしてたんですけど、なんだろ、そのうち、俺も楽しんでもいいだろ、みたいな気持ちになってきてね。
ムシキング、って知ってます? あの、今の子供たちは、ポケモンじゃなくてムシキングらしいですよ。で、まあ、そのムシキングの話になって、「俺の友達がムシキングの漫画描いてるよ」って、ちょっと、ウソを言ってみた。
「うそーまじでー!」「すげー!」
楽しい! すげえ、今、俺、楽しい!
そしたら、一人の子が、「(漫画の?)次どうなるの?」って聞いてきた。
「えっとねー、次は、死ぬね。いっぱい死ぬ」
「うおー!!」「うひょー!!」
楽しい! すげえ、今、俺、楽しい!
「あとニューキャラ出てくるよ」
「まじでー!!」「何ー!!」
「コメツキムシ。すごい攻撃力だよ」
「え、何それ」
しまった! 今の子たちはコメツキムシを知らない! 昔は土間とかに良く居たのになあ。ちょっと悲しくなった。
こんなのも書いたよ。
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