ケイコの発言:
こんばんは。
雄二の発言:
こんばんは。
ケイコの発言:
今日は早いね。
雄二の発言:
電車がすいてたからね。
ケイコの発言:
電車がすいてても、家に帰る時間は変わらないよね。
雄二の発言:
そうだね。
ケイコの発言:
うん。
雄二の発言:
うん。
ケイコの発言:
今帰ったばかり?
雄二の発言:
そうだよ。ほやほや。
ケイコの発言:
ほやほや。
雄二の発言:
そう、ほやほやだ。
ケイコの発言:
私風邪で学校休んだ。
雄二の発言:
まじで? 大丈夫なの。
ケイコの発言:
もう平気なんだけど。
雄二の発言:
風邪よくひくよね。
ケイコの発言:
そうだね。雄二はひかないの。
雄二の発言:
もうなんだろ、10年くらいひいてない。
ケイコの発言:
うそだ。
雄二の発言:
ホントに。
ケイコの発言:
なんで?
雄二の発言:
なんでだろう。
ケイコの発言:
さあ。
雄二の発言:
強いて言えば。
ケイコの発言:
うん。聞きたい。
雄二の発言:
手をあまり洗わないからかな。
ケイコの発言:
え?
雄二の発言:
手をあまり、洗わないからかな。
ケイコの発言:
一般的な風邪の予防対策と間逆だよね。
雄二の発言:
そうだね。でも、それでもみんな風邪ひくってことは、その予防対策が間違っている、と考えたほうがいいんじゃないか。
ケイコの発言:
えー。
雄二の発言:
現に俺は、手を洗わないことで、風邪をひいてないよ。
ケイコの発言:
そうなの。
雄二の発言:
今も、電車の中でつり革つかまってきた手でパン食べてる。
ケイコの発言:
汚いなあ。
雄二の発言:
あのねー、みんな、手を洗いすぎなんだよ。
ケイコの発言:
そう?
雄二の発言:
で、体に、あまりばい菌が入らなくなってきている。
ケイコの発言:
うん。
雄二の発言:
で、そのうち、体が弱っちゃうんだよ。あー。ばい菌入って来ないし、いっか、みたいな感じで、なまってくる。
ケイコの発言:
まあ、除菌商品が増えてから、免疫力が弱くなってる、みたいなことは言われてるよね。
雄二の発言:
そうそう、それと同じ。手の洗いすぎによって、みんな、体が弱くなってるんだよ。
ケイコの発言:
そうなの?
雄二の発言:
これからは、手洗いは制限されなければならない。
ケイコの発言:
えー。
雄二の発言:
今後、このことに気づいたお役所が、手洗い禁止条例、みたいなのを作ってくると思うよ。
ケイコの発言:
無い無い。
雄二の発言:
まあ、手洗い全体を禁止するのは行き過ぎだとしても、石鹸は制限されると思うよ。
ケイコの発言:
うーん。
雄二の発言:
石鹸のパッケージに、「手の洗いすぎは、あなたの健康を損ねる恐れがあります」みたいな注意書きが。
ケイコの発言:
えー。
雄二の発言:
税がかかって、やたら高くなる石鹸。
ケイコの発言:
うーん。
雄二の発言:
20歳まで、石鹸での手洗いは禁止になる。
ケイコの発言:
なんで!
雄二の発言:
20歳までは、免疫力を高めなければならないから、みたいな感じじゃないの?
ケイコの発言:
ないの? て。投げやりだなあ。
雄二の発言:
石鹸は20歳以上じゃないと買えなくなる。
ケイコの発言:
えー。
雄二の発言:
新年会とかで、親戚の悪いおじさんが、酔った勢いで「ほら、手洗ってみるか、ほら」みたいに石鹸を薦めてくる。
ケイコの発言:
酒感覚だね。
雄二の発言:
小学生の間では、「石鹸で手を洗う感触は、カマキリの卵を手でつぶす時と似てるらしい」みたいな噂が飛び交い、みんな必死でカマキリを探す。
ケイコの発言:
カマキリも災難だね。
雄二の発言:
でも中学生にもなると、もう、なんだろ、そんなカマキリとかじゃ収まらなくなって、はやく本物の石鹸で手を洗いたい。大人になりたい。
ケイコの発言:
うん。
雄二の発言:
で、校舎の裏とかに集まって、手を洗おうとするんだけど。
ケイコの発言:
ああ。
雄二の発言:
でも、初めてだから、こう、どうしていいか分かんないの。「何、これ、こすればいいわけ?」「馬鹿、泡立てんだよ!」
ケイコの発言:
楽しそうだね。
雄二の発言:
「意外と、大したことなかったな」「ああ。どこが良いのか全然わかんねえ」
ケイコの発言:
まだ良さが分からないんだ。
雄二の発言:
でも、話はそこで終わらなくて、校舎の裏に捨てられた石鹸の空き箱を教師が拾って、そのことで臨時集会が開かれる。
ケイコの発言:
ああ。
雄二の発言:
「この中に、校舎の裏で、石鹸で手を洗ったものが居る」
ケイコの発言:
いいよね。別に。
雄二の発言:
「先生は、知ってのとおり、ヘビーウォッシャーだから、説得力は無いかもしれない。でも、これだけは言える。手洗いは、大人になってもできる。お前たちは、今出来ることをやれ」
ケイコの発言:
ヘビーウォッシャー。新しい言葉が出てきた。
雄二の発言:
まあ、そんな忠告もむなしく、不良たちは石鹸で手を洗いまくる。
ケイコの発言:
なんかとても変な感じだけど。
雄二の発言:
高校生になるとさらにエスカレートして、渋谷の女子高生のインタビューで、「え? ミューズ? 私はやらないけど、友達にやってる子いるー」
ケイコの発言:
ミューズ悪いの?
雄二の発言:
当たり前だろ。普通の石鹸が規制されてるのに、薬用石鹸ミューズなんて、違法だよ。
ケイコの発言:
そうなんだ。
雄二の発言:
「今日、先輩の部屋でミューズパーティーやるんだけど」みたいな誘いを受けたり。
ケイコの発言:
そのパーティーは何するの?
雄二の発言:
除菌しまくりの洗いまくりだよ。もう、生きた菌なんて一匹もいやしない、恐ろしいパーティーだよ。
ケイコの発言:
そうなんだ。
雄二の発言:
でも、そこに警察がなだれ込んで、一網打尽。
ケイコの発言:
あーあ。
雄二の発言:
高校生のミューズパーティーの実態! みたいな感じで、マスコミは騒ぎ立てる。
ケイコの発言:
うん。
雄二の発言:
高校生のミューズパーティーを根こそぎ洗い出せ! みたいな感じで。
ケイコの発言:
言い直さなくていいよ。
雄二の発言:
そういう奴は、更生施設に入れられるんだ。
ケイコの発言:
うん。
雄二の発言:
そこで、石鹸で手を洗いすぎることの怖さを、嫌というほど思い知る。
ケイコの発言:
うーん。
雄二の発言:
で、必ずこう言うんだ。
ケイコの発言:
何。
雄二の発言:
「もう、手を洗うことから、足を洗います」
ケイコの発言:
うまくないよ。
雄二の発言:
あれ?
ケイコの発言:
うまくないよ。
雄二の発言:
そう?
ケイコの発言:
うん。
雄二の発言:
うん。
ケイコの発言:
うん。
雄二の発言:
あそう。
ケイコの発言:
うん。終わり?
雄二の発言:
うん。
ケイコの発言:
うん。
雄二の発言:
つーか、風邪ひいてるんでしょ。
ケイコの発言:
うん。
雄二の発言:
早く寝ないと。
ケイコの発言:
ああ。そっか。寝ようかな。
雄二の発言:
うん。そうしな。
ケイコの発言:
おやすみ。
雄二の発言:
おやすみ。
こんばんは。
雄二の発言:
こんばんは。
ケイコの発言:
今日は早いね。
雄二の発言:
電車がすいてたからね。
ケイコの発言:
電車がすいてても、家に帰る時間は変わらないよね。
雄二の発言:
そうだね。
ケイコの発言:
うん。
雄二の発言:
うん。
ケイコの発言:
今帰ったばかり?
雄二の発言:
そうだよ。ほやほや。
ケイコの発言:
ほやほや。
雄二の発言:
そう、ほやほやだ。
ケイコの発言:
私風邪で学校休んだ。
雄二の発言:
まじで? 大丈夫なの。
ケイコの発言:
もう平気なんだけど。
雄二の発言:
風邪よくひくよね。
ケイコの発言:
そうだね。雄二はひかないの。
雄二の発言:
もうなんだろ、10年くらいひいてない。
ケイコの発言:
うそだ。
雄二の発言:
ホントに。
ケイコの発言:
なんで?
雄二の発言:
なんでだろう。
ケイコの発言:
さあ。
雄二の発言:
強いて言えば。
ケイコの発言:
うん。聞きたい。
雄二の発言:
手をあまり洗わないからかな。
ケイコの発言:
え?
雄二の発言:
手をあまり、洗わないからかな。
ケイコの発言:
一般的な風邪の予防対策と間逆だよね。
雄二の発言:
そうだね。でも、それでもみんな風邪ひくってことは、その予防対策が間違っている、と考えたほうがいいんじゃないか。
ケイコの発言:
えー。
雄二の発言:
現に俺は、手を洗わないことで、風邪をひいてないよ。
ケイコの発言:
そうなの。
雄二の発言:
今も、電車の中でつり革つかまってきた手でパン食べてる。
ケイコの発言:
汚いなあ。
雄二の発言:
あのねー、みんな、手を洗いすぎなんだよ。
ケイコの発言:
そう?
雄二の発言:
で、体に、あまりばい菌が入らなくなってきている。
ケイコの発言:
うん。
雄二の発言:
で、そのうち、体が弱っちゃうんだよ。あー。ばい菌入って来ないし、いっか、みたいな感じで、なまってくる。
ケイコの発言:
まあ、除菌商品が増えてから、免疫力が弱くなってる、みたいなことは言われてるよね。
雄二の発言:
そうそう、それと同じ。手の洗いすぎによって、みんな、体が弱くなってるんだよ。
ケイコの発言:
そうなの?
雄二の発言:
これからは、手洗いは制限されなければならない。
ケイコの発言:
えー。
雄二の発言:
今後、このことに気づいたお役所が、手洗い禁止条例、みたいなのを作ってくると思うよ。
ケイコの発言:
無い無い。
雄二の発言:
まあ、手洗い全体を禁止するのは行き過ぎだとしても、石鹸は制限されると思うよ。
ケイコの発言:
うーん。
雄二の発言:
石鹸のパッケージに、「手の洗いすぎは、あなたの健康を損ねる恐れがあります」みたいな注意書きが。
ケイコの発言:
えー。
雄二の発言:
税がかかって、やたら高くなる石鹸。
ケイコの発言:
うーん。
雄二の発言:
20歳まで、石鹸での手洗いは禁止になる。
ケイコの発言:
なんで!
雄二の発言:
20歳までは、免疫力を高めなければならないから、みたいな感じじゃないの?
ケイコの発言:
ないの? て。投げやりだなあ。
雄二の発言:
石鹸は20歳以上じゃないと買えなくなる。
ケイコの発言:
えー。
雄二の発言:
新年会とかで、親戚の悪いおじさんが、酔った勢いで「ほら、手洗ってみるか、ほら」みたいに石鹸を薦めてくる。
ケイコの発言:
酒感覚だね。
雄二の発言:
小学生の間では、「石鹸で手を洗う感触は、カマキリの卵を手でつぶす時と似てるらしい」みたいな噂が飛び交い、みんな必死でカマキリを探す。
ケイコの発言:
カマキリも災難だね。
雄二の発言:
でも中学生にもなると、もう、なんだろ、そんなカマキリとかじゃ収まらなくなって、はやく本物の石鹸で手を洗いたい。大人になりたい。
ケイコの発言:
うん。
雄二の発言:
で、校舎の裏とかに集まって、手を洗おうとするんだけど。
ケイコの発言:
ああ。
雄二の発言:
でも、初めてだから、こう、どうしていいか分かんないの。「何、これ、こすればいいわけ?」「馬鹿、泡立てんだよ!」
ケイコの発言:
楽しそうだね。
雄二の発言:
「意外と、大したことなかったな」「ああ。どこが良いのか全然わかんねえ」
ケイコの発言:
まだ良さが分からないんだ。
雄二の発言:
でも、話はそこで終わらなくて、校舎の裏に捨てられた石鹸の空き箱を教師が拾って、そのことで臨時集会が開かれる。
ケイコの発言:
ああ。
雄二の発言:
「この中に、校舎の裏で、石鹸で手を洗ったものが居る」
ケイコの発言:
いいよね。別に。
雄二の発言:
「先生は、知ってのとおり、ヘビーウォッシャーだから、説得力は無いかもしれない。でも、これだけは言える。手洗いは、大人になってもできる。お前たちは、今出来ることをやれ」
ケイコの発言:
ヘビーウォッシャー。新しい言葉が出てきた。
雄二の発言:
まあ、そんな忠告もむなしく、不良たちは石鹸で手を洗いまくる。
ケイコの発言:
なんかとても変な感じだけど。
雄二の発言:
高校生になるとさらにエスカレートして、渋谷の女子高生のインタビューで、「え? ミューズ? 私はやらないけど、友達にやってる子いるー」
ケイコの発言:
ミューズ悪いの?
雄二の発言:
当たり前だろ。普通の石鹸が規制されてるのに、薬用石鹸ミューズなんて、違法だよ。
ケイコの発言:
そうなんだ。
雄二の発言:
「今日、先輩の部屋でミューズパーティーやるんだけど」みたいな誘いを受けたり。
ケイコの発言:
そのパーティーは何するの?
雄二の発言:
除菌しまくりの洗いまくりだよ。もう、生きた菌なんて一匹もいやしない、恐ろしいパーティーだよ。
ケイコの発言:
そうなんだ。
雄二の発言:
でも、そこに警察がなだれ込んで、一網打尽。
ケイコの発言:
あーあ。
雄二の発言:
高校生のミューズパーティーの実態! みたいな感じで、マスコミは騒ぎ立てる。
ケイコの発言:
うん。
雄二の発言:
高校生のミューズパーティーを根こそぎ洗い出せ! みたいな感じで。
ケイコの発言:
言い直さなくていいよ。
雄二の発言:
そういう奴は、更生施設に入れられるんだ。
ケイコの発言:
うん。
雄二の発言:
そこで、石鹸で手を洗いすぎることの怖さを、嫌というほど思い知る。
ケイコの発言:
うーん。
雄二の発言:
で、必ずこう言うんだ。
ケイコの発言:
何。
雄二の発言:
「もう、手を洗うことから、足を洗います」
ケイコの発言:
うまくないよ。
雄二の発言:
あれ?
ケイコの発言:
うまくないよ。
雄二の発言:
そう?
ケイコの発言:
うん。
雄二の発言:
うん。
ケイコの発言:
うん。
雄二の発言:
あそう。
ケイコの発言:
うん。終わり?
雄二の発言:
うん。
ケイコの発言:
うん。
雄二の発言:
つーか、風邪ひいてるんでしょ。
ケイコの発言:
うん。
雄二の発言:
早く寝ないと。
ケイコの発言:
ああ。そっか。寝ようかな。
雄二の発言:
うん。そうしな。
ケイコの発言:
おやすみ。
雄二の発言:
おやすみ。