靴をよく履き間違える。
学生時代からよくやってたんだけど、あのー、左右違う靴を履いて出かけてしまう。で、なんだろ、アレじゃん。似てる靴とかだったらまだ分かるじゃん、俺、革靴とスニーカーとかやるから。いや、言い訳じゃないですけど、玄関めっちゃ暗いんですよ。で、あと、違う種類の靴でも、意外と、気づかないんですよ。靴もさ、長いこと履いてるから、俺の足の形に変形してるんですよね。フィット感が、革靴とスニーカーで殆ど変わらない。
で、かなりの確率で履き間違えるんですけど、まあ、でも、めったに大惨事にはならない。間違えて履いていることに気づくポイント、というのがあるんですよね。セーフティネット的な。
大抵、玄関出てエレベータを待っているとき、何気なく下を見て「ギャー!」って気づくことができる。俺の中でも、なんだろ、ここでくい止めるぞ! みたいな感じではあるんですよね。間違った靴ではエレベータには乗らないぞ! みたいな。
まあ、でも、たまーに、エレベータがすぐ来た時とかに、ここのチェックを通過してしまうことがある。結果、靴を間違ったまま、屋外へ出てしまうわけで。遂に奴が外へ! なんつーか、バイオ・ハザード的な。チェックをかいくぐって、外へ漏れ出してしまった馬鹿。
でも、まだ、チェックポイントはあるんですよ。駅の階段。
階段を上る時に、何気なく足が視界に入って、「ギャー!」って気づくことができる。うち、駅にめちゃめちゃ近いので、まだセーフなんですよ。帰って履き替えるのも苦ではない。苦ではないっていうか。間違った靴を履きながら何でそんなに偉そうなのかわかんないけど。
ここのチェックポイントにも何度か救われた。ていうか、ここが事実上の最終チェックです。
ここを通過してしまうと、電車ではるか遠くに運ばれてしまうわけで。
で、この前、遂に、運ばれた。
気づいたのは、電車の中。
ほぼ満員でドアにへばりついてたんですけど、あのー、両足ともドアと等距離の位置にある筈なのに、右側のつまさきだけが、ドアについてるんです。明らかに、右側のつまさきが長い。もう、下を見なくても分かった。やっちゃった。
でさー、本社ならまだいいんですよ。友達とか先輩とかが笑ってくれるから。
俺、今、一人、技術担当として他社に常駐してるんですよ。靴を間違えてる人なんかに仕事まかせたくないよね。その、靴のような仕事をしそうだものね。
で、電車に揺られながらものすっごい考えたところ、そういえば、自分の机の下に、前任者が残していったスリッパがあったことを思い出して。会社の中ではそれを履けばいいや。てことは、会社まで、なんとか、たどり着ければ。
とりあえず電車を降りて、駅から会社まで、あの、なんだろ、ものすごい足の回転早くして歩いた。なんだろ、革靴もスニーカーも茶色系だったので、速すぎてよくわかんなくしちゃえ、みたいな感じで。
帰りは、飲み屋で片方の靴を間違えられた客を演じながら帰った。時々下を見て、革靴をパコンパコンやりながら「ったく……」みたいな顔をして。
学生時代からよくやってたんだけど、あのー、左右違う靴を履いて出かけてしまう。で、なんだろ、アレじゃん。似てる靴とかだったらまだ分かるじゃん、俺、革靴とスニーカーとかやるから。いや、言い訳じゃないですけど、玄関めっちゃ暗いんですよ。で、あと、違う種類の靴でも、意外と、気づかないんですよ。靴もさ、長いこと履いてるから、俺の足の形に変形してるんですよね。フィット感が、革靴とスニーカーで殆ど変わらない。
で、かなりの確率で履き間違えるんですけど、まあ、でも、めったに大惨事にはならない。間違えて履いていることに気づくポイント、というのがあるんですよね。セーフティネット的な。
大抵、玄関出てエレベータを待っているとき、何気なく下を見て「ギャー!」って気づくことができる。俺の中でも、なんだろ、ここでくい止めるぞ! みたいな感じではあるんですよね。間違った靴ではエレベータには乗らないぞ! みたいな。
まあ、でも、たまーに、エレベータがすぐ来た時とかに、ここのチェックを通過してしまうことがある。結果、靴を間違ったまま、屋外へ出てしまうわけで。遂に奴が外へ! なんつーか、バイオ・ハザード的な。チェックをかいくぐって、外へ漏れ出してしまった馬鹿。
でも、まだ、チェックポイントはあるんですよ。駅の階段。
階段を上る時に、何気なく足が視界に入って、「ギャー!」って気づくことができる。うち、駅にめちゃめちゃ近いので、まだセーフなんですよ。帰って履き替えるのも苦ではない。苦ではないっていうか。間違った靴を履きながら何でそんなに偉そうなのかわかんないけど。
ここのチェックポイントにも何度か救われた。ていうか、ここが事実上の最終チェックです。
ここを通過してしまうと、電車ではるか遠くに運ばれてしまうわけで。
で、この前、遂に、運ばれた。
気づいたのは、電車の中。
ほぼ満員でドアにへばりついてたんですけど、あのー、両足ともドアと等距離の位置にある筈なのに、右側のつまさきだけが、ドアについてるんです。明らかに、右側のつまさきが長い。もう、下を見なくても分かった。やっちゃった。
でさー、本社ならまだいいんですよ。友達とか先輩とかが笑ってくれるから。
俺、今、一人、技術担当として他社に常駐してるんですよ。靴を間違えてる人なんかに仕事まかせたくないよね。その、靴のような仕事をしそうだものね。
で、電車に揺られながらものすっごい考えたところ、そういえば、自分の机の下に、前任者が残していったスリッパがあったことを思い出して。会社の中ではそれを履けばいいや。てことは、会社まで、なんとか、たどり着ければ。
とりあえず電車を降りて、駅から会社まで、あの、なんだろ、ものすごい足の回転早くして歩いた。なんだろ、革靴もスニーカーも茶色系だったので、速すぎてよくわかんなくしちゃえ、みたいな感じで。
帰りは、飲み屋で片方の靴を間違えられた客を演じながら帰った。時々下を見て、革靴をパコンパコンやりながら「ったく……」みたいな顔をして。
こんなのも書いたよ。
いやー、やらしい大人になったなあ、と思ってしまった。
今は一人別の会社に常駐しているんですけど、仕事はじめに、一応、本社に寄ったんですわ。で、あのー、先輩とかにね、あけましておめでとうございます、あけましておめでとうございます、と壊れたステレオのように繰り返したわけですが、あのー、課長がね、喪中だったんですよ。
で、課長を目の前にして、喪中だからこりゃ「あけましておめでとうございます」じゃねーな、と、俺のインテリジェント脳は一瞬にして判断したわけですよ。
そこまでは良かった。で、素直に「おはようございます」って言えばいいわけですけど、俺のインテリジェント脳はちょっとやらしかった。もしここで、普通に「おはようございます」って言ったら、なんか、本当に新年ってことを忘れて「おはようございます」って言ってるみたいじゃないですか。これは、なんか損だ。ただの気の利かない奴だと思われたらどうしよう、みたいな。
で、こう、無意識にやったことが、「えっと、あ、おはようございます」って。なんだろ、考えておはようございますにしたんだよっていう、なんかそういう間をあけて。
やらしいやらしい。「えっと、あ、おはようございます」だって。やらしい。思い出すだけですげえムカムカする。そんな性根のいやらしい大人になった覚えはないんだけどなー。
こんな腐った俺ですが、最近、何故か子供に好かれる。
この前実家へ帰ったとき、近所へお年賀を置きに行ったんですけど、そこにね、その近所のうちの親戚の子、というのが、わんさか居たんですよ。で、子供だけで遊ぶのに飽きてたんでしょうね、俺の興味を引こうと必死なんですよ。俺、子供は嫌いじゃないんですけど、子供と遊ぶのは、実はそんなに好きじゃないんですよ。なんか気をいっぱい使うし。うまくないのにうまいねーとか言いたくない!
でも、子供たちは俺を仲間に引き入れようと、俺にボールぶつけたりしてくる。こらー! みたいにおいかけると、「ぎゃー!!」って逃げ回る。やべー完全に取り込まれてるじゃないか。やだ! 取り込まれたくない! もののけになったおっことぬしに取り込まれそうになったサンの気分ですよ。「やだ! もののけにはなりたくない!」みたいな。
あー、でも、子供ってたまに想像つかないことするから、リアルで笑うときがある。なんか、一人の子が、「ガンダムの絵を描いてあげるよ」と近づいてきたんです。「わー。描けるの? 描いて描いて」と、心裏腹に、一応盛り上がっておいたんですけど、そしたら、なんかザクを描き始めた。
で、頭と右腕を描ききったところで、なんだろ、明らかに、飽き始めたんですよ。なんか漫画ぱらぱら手でやったり、えんぴつコロコロ転がしたり。
俺ね、ちょっと意地悪く、「まだー?」って言ったんですよ。そしたら、左腕と胴体のところに、ギザギザを描いて、「できた。やられたザク」って。わー! 手抜きにもほどがある! 君はこれからの人生そうやって生きていくんだね! 君の将来が見える。なんだろ、すげえまずいラーメン開発して「チャレンジラーメン」とか名前つけて飄々としてるタイプの人になるよ。
で、長いこと子供の相手をしてたんですけど、なんだろ、そのうち、俺も楽しんでもいいだろ、みたいな気持ちになってきてね。
ムシキング、って知ってます? あの、今の子供たちは、ポケモンじゃなくてムシキングらしいですよ。で、まあ、そのムシキングの話になって、「俺の友達がムシキングの漫画描いてるよ」って、ちょっと、ウソを言ってみた。
「うそーまじでー!」「すげー!」
楽しい! すげえ、今、俺、楽しい!
そしたら、一人の子が、「(漫画の?)次どうなるの?」って聞いてきた。
「えっとねー、次は、死ぬね。いっぱい死ぬ」
「うおー!!」「うひょー!!」
楽しい! すげえ、今、俺、楽しい!
「あとニューキャラ出てくるよ」
「まじでー!!」「何ー!!」
「コメツキムシ。すごい攻撃力だよ」
「え、何それ」
しまった! 今の子たちはコメツキムシを知らない! 昔は土間とかに良く居たのになあ。ちょっと悲しくなった。
今は一人別の会社に常駐しているんですけど、仕事はじめに、一応、本社に寄ったんですわ。で、あのー、先輩とかにね、あけましておめでとうございます、あけましておめでとうございます、と壊れたステレオのように繰り返したわけですが、あのー、課長がね、喪中だったんですよ。
で、課長を目の前にして、喪中だからこりゃ「あけましておめでとうございます」じゃねーな、と、俺のインテリジェント脳は一瞬にして判断したわけですよ。
そこまでは良かった。で、素直に「おはようございます」って言えばいいわけですけど、俺のインテリジェント脳はちょっとやらしかった。もしここで、普通に「おはようございます」って言ったら、なんか、本当に新年ってことを忘れて「おはようございます」って言ってるみたいじゃないですか。これは、なんか損だ。ただの気の利かない奴だと思われたらどうしよう、みたいな。
で、こう、無意識にやったことが、「えっと、あ、おはようございます」って。なんだろ、考えておはようございますにしたんだよっていう、なんかそういう間をあけて。
やらしいやらしい。「えっと、あ、おはようございます」だって。やらしい。思い出すだけですげえムカムカする。そんな性根のいやらしい大人になった覚えはないんだけどなー。
こんな腐った俺ですが、最近、何故か子供に好かれる。
この前実家へ帰ったとき、近所へお年賀を置きに行ったんですけど、そこにね、その近所のうちの親戚の子、というのが、わんさか居たんですよ。で、子供だけで遊ぶのに飽きてたんでしょうね、俺の興味を引こうと必死なんですよ。俺、子供は嫌いじゃないんですけど、子供と遊ぶのは、実はそんなに好きじゃないんですよ。なんか気をいっぱい使うし。うまくないのにうまいねーとか言いたくない!
でも、子供たちは俺を仲間に引き入れようと、俺にボールぶつけたりしてくる。こらー! みたいにおいかけると、「ぎゃー!!」って逃げ回る。やべー完全に取り込まれてるじゃないか。やだ! 取り込まれたくない! もののけになったおっことぬしに取り込まれそうになったサンの気分ですよ。「やだ! もののけにはなりたくない!」みたいな。
あー、でも、子供ってたまに想像つかないことするから、リアルで笑うときがある。なんか、一人の子が、「ガンダムの絵を描いてあげるよ」と近づいてきたんです。「わー。描けるの? 描いて描いて」と、心裏腹に、一応盛り上がっておいたんですけど、そしたら、なんかザクを描き始めた。
で、頭と右腕を描ききったところで、なんだろ、明らかに、飽き始めたんですよ。なんか漫画ぱらぱら手でやったり、えんぴつコロコロ転がしたり。
俺ね、ちょっと意地悪く、「まだー?」って言ったんですよ。そしたら、左腕と胴体のところに、ギザギザを描いて、「できた。やられたザク」って。わー! 手抜きにもほどがある! 君はこれからの人生そうやって生きていくんだね! 君の将来が見える。なんだろ、すげえまずいラーメン開発して「チャレンジラーメン」とか名前つけて飄々としてるタイプの人になるよ。
で、長いこと子供の相手をしてたんですけど、なんだろ、そのうち、俺も楽しんでもいいだろ、みたいな気持ちになってきてね。
ムシキング、って知ってます? あの、今の子供たちは、ポケモンじゃなくてムシキングらしいですよ。で、まあ、そのムシキングの話になって、「俺の友達がムシキングの漫画描いてるよ」って、ちょっと、ウソを言ってみた。
「うそーまじでー!」「すげー!」
楽しい! すげえ、今、俺、楽しい!
そしたら、一人の子が、「(漫画の?)次どうなるの?」って聞いてきた。
「えっとねー、次は、死ぬね。いっぱい死ぬ」
「うおー!!」「うひょー!!」
楽しい! すげえ、今、俺、楽しい!
「あとニューキャラ出てくるよ」
「まじでー!!」「何ー!!」
「コメツキムシ。すごい攻撃力だよ」
「え、何それ」
しまった! 今の子たちはコメツキムシを知らない! 昔は土間とかに良く居たのになあ。ちょっと悲しくなった。
こんなのも書いたよ。
いつのまにか10月になってしまったんですけど。
早いなあ。半袖が長袖になってしまった。あの、いろいろあって、こんな時間空いてしまったんだけど、まあ、ぼちぼちやっていきます。
あー、半袖と言えば、あのー、今の職場って私服OKなんですけど、このせいで、去年の夏には無かった問題が発生して。
半袖をね、俺、よそ行きとして4枚しか持ってないんですわ。普通に着てると、月、火、水、木、で力尽きる。洗えばいいじゃない、って話なんだけど、俺、洗濯機持ってないんですよ。あんまり言うと「かわいそう」みたいに思われるから、なるべく同情を誘わないように明るく言うようにしている。「洗濯機無いんですよ!」 さらりと言うようにしている。 「あ、こっちにも生ひとつ、ええ、うん、あ、ていうか洗濯機無いんですよ」
いやいや、ていうかね、あのー、引っ越した部屋に、洗濯機を置く場所が無かったんですわ。比較的新しいちゃんとした部屋ならば、壁からにょきっと蛇口が出ていて、下に排水溝が付いているような一角があって、誰がどう見ても、洗濯機しか置けない場所、ってあるじゃないですか。
無かった。
で、無いことに気づいたのは、引っ越してちょっと経ってからだったんですよね。洗濯機が置けない! 騙された! 今思えば、あの不動産屋が俺をすぐベランダに案内して眺めばっかり強調したのもこのせいか、とか、わー、まじかよー。でも、今ごろ不動産屋に「洗濯機の置く場所がー」とか言うのって、自分が馬鹿なのを認めたみたいですごい嫌じゃないですか。無いことを承知で借りたことにしておきたい。俺の名誉のために。で、無理やり自分に言い聞かせてね。無くて上等! 洗濯機なんて買ったら引越ししにくくなるだけだぜ! フットワークの軽さで名高い俺にはぴったりの部屋だ! あとコインランドリーってなんかかっこいいぜ!
えー、なんつーか、引っ越した数ヶ月は色眼鏡で部屋とか新しい生活とかを見ていて、かっこいいかっこいい言ってたんですけど、10ヶ月経って冷静に考えると、明らかに、欠陥というか、欠陥でないにしても、なんだろ、駄目なアパートですよ。夜は暴走族うるせーし、住人はやくざか中国人だし。地下キャバクラだし。エレベーターすっごい香水のにおいで。あと、掃除のおばちゃんが、何だろ、妖怪っぽい。こういうことを言ってはいけないのかもしれないけど、全体的に妖怪っぽい。キシャー! みたいにいきなり動きが速くなって間合いを詰められたらどうしよう! とかいつもドキドキする。
で、自分が妖怪っぽいってこと自分でも分かってるんでしょうね、たまに、明らかに、わざと俺らを驚かそうとするんですよ。
俺、7階に住んでるんですけど、玄関出ると、たまにおばちゃんが7階の廊下を掃除していることがあるんですわ。で、挨拶して、通り過ぎますわね。そのあと、アパートに一つしかないエレベーターで1階へ降りて、ウィーンって開くとそこにまたおばちゃんが! ギャア!!!!! なんで!!!!!
おばちゃんは何事も無かったように黙々と雑巾絞ってるんだけど、あの、よく見たら、肩で息をしている。え、階段で降りてきたの? 俺より早く? 何のために?
何のためにって考えたんだけど、そんなに早く降りてきて雑巾を絞らないといけない理由なんて思いつかないし、なんだろ、俺を驚かすためにやってるとしか思えない。何やってんだ、あんた。趣味か。それが唯一の趣味か。
なんかさーもっとさー、編物とかさー。あるじゃん。チェーンステッチとか。
まあ、いいんだけど、あ、そう、話戻すと、そう、半袖が4枚しかなくて、1週間回すには1枚足りないっていう話で、まあ、洗えばいいんだけど、コインランドリーはまとめて週1回って決めている。シャツ数枚洗うためだけにコインランドリー行くようなセレブではない。まあ、シャツ数枚洗うためだけにコインランドリーに行くことがセレブかといわれれば、それもどうかと思うんだけど。
ということで、金曜日は、毎週、困るんです。毎回困る。どうにかすればいいんだけど、どうすることもできず、毎週困る。1回休んだ。着ていくものが無くて休んだ。
で、次の週は、何回も休むわけにもいかないので、パジャマで行った。けっこう、パジャマパジャマしているパジャマで、なんだろー、灰色の夏用パジャマ。とはいえ、ジーンズを履くと、なんかそれなりに見えなくもない。でもパジャマ。
なんか、すげえドキドキした。俺、今、会社をパジャマで歩いてるよ! みたいな。セキュリティールームにパジャマで入室! 厳重に隔離された部屋に、パジャマの男が! やわらかい! お客さんとパジャマで話し合い。パジャマ会談。
なんか話し合いの途中寝ても怒られなさそうじゃない? 俺寝たら、なんか、オルゴールみたいなの流れてね。もわんもわんした映像で。で、ちょっと起きて、音も止まったりするんだけど、そのうち、本格的におねむ。あらあら、みたいな感じで、お客さんも夏掛けみたいのかけてくれると思う。
早いなあ。半袖が長袖になってしまった。あの、いろいろあって、こんな時間空いてしまったんだけど、まあ、ぼちぼちやっていきます。
あー、半袖と言えば、あのー、今の職場って私服OKなんですけど、このせいで、去年の夏には無かった問題が発生して。
半袖をね、俺、よそ行きとして4枚しか持ってないんですわ。普通に着てると、月、火、水、木、で力尽きる。洗えばいいじゃない、って話なんだけど、俺、洗濯機持ってないんですよ。あんまり言うと「かわいそう」みたいに思われるから、なるべく同情を誘わないように明るく言うようにしている。「洗濯機無いんですよ!」 さらりと言うようにしている。 「あ、こっちにも生ひとつ、ええ、うん、あ、ていうか洗濯機無いんですよ」
いやいや、ていうかね、あのー、引っ越した部屋に、洗濯機を置く場所が無かったんですわ。比較的新しいちゃんとした部屋ならば、壁からにょきっと蛇口が出ていて、下に排水溝が付いているような一角があって、誰がどう見ても、洗濯機しか置けない場所、ってあるじゃないですか。
無かった。
で、無いことに気づいたのは、引っ越してちょっと経ってからだったんですよね。洗濯機が置けない! 騙された! 今思えば、あの不動産屋が俺をすぐベランダに案内して眺めばっかり強調したのもこのせいか、とか、わー、まじかよー。でも、今ごろ不動産屋に「洗濯機の置く場所がー」とか言うのって、自分が馬鹿なのを認めたみたいですごい嫌じゃないですか。無いことを承知で借りたことにしておきたい。俺の名誉のために。で、無理やり自分に言い聞かせてね。無くて上等! 洗濯機なんて買ったら引越ししにくくなるだけだぜ! フットワークの軽さで名高い俺にはぴったりの部屋だ! あとコインランドリーってなんかかっこいいぜ!
えー、なんつーか、引っ越した数ヶ月は色眼鏡で部屋とか新しい生活とかを見ていて、かっこいいかっこいい言ってたんですけど、10ヶ月経って冷静に考えると、明らかに、欠陥というか、欠陥でないにしても、なんだろ、駄目なアパートですよ。夜は暴走族うるせーし、住人はやくざか中国人だし。地下キャバクラだし。エレベーターすっごい香水のにおいで。あと、掃除のおばちゃんが、何だろ、妖怪っぽい。こういうことを言ってはいけないのかもしれないけど、全体的に妖怪っぽい。キシャー! みたいにいきなり動きが速くなって間合いを詰められたらどうしよう! とかいつもドキドキする。
で、自分が妖怪っぽいってこと自分でも分かってるんでしょうね、たまに、明らかに、わざと俺らを驚かそうとするんですよ。
俺、7階に住んでるんですけど、玄関出ると、たまにおばちゃんが7階の廊下を掃除していることがあるんですわ。で、挨拶して、通り過ぎますわね。そのあと、アパートに一つしかないエレベーターで1階へ降りて、ウィーンって開くとそこにまたおばちゃんが! ギャア!!!!! なんで!!!!!
おばちゃんは何事も無かったように黙々と雑巾絞ってるんだけど、あの、よく見たら、肩で息をしている。え、階段で降りてきたの? 俺より早く? 何のために?
何のためにって考えたんだけど、そんなに早く降りてきて雑巾を絞らないといけない理由なんて思いつかないし、なんだろ、俺を驚かすためにやってるとしか思えない。何やってんだ、あんた。趣味か。それが唯一の趣味か。
なんかさーもっとさー、編物とかさー。あるじゃん。チェーンステッチとか。
まあ、いいんだけど、あ、そう、話戻すと、そう、半袖が4枚しかなくて、1週間回すには1枚足りないっていう話で、まあ、洗えばいいんだけど、コインランドリーはまとめて週1回って決めている。シャツ数枚洗うためだけにコインランドリー行くようなセレブではない。まあ、シャツ数枚洗うためだけにコインランドリーに行くことがセレブかといわれれば、それもどうかと思うんだけど。
ということで、金曜日は、毎週、困るんです。毎回困る。どうにかすればいいんだけど、どうすることもできず、毎週困る。1回休んだ。着ていくものが無くて休んだ。
で、次の週は、何回も休むわけにもいかないので、パジャマで行った。けっこう、パジャマパジャマしているパジャマで、なんだろー、灰色の夏用パジャマ。とはいえ、ジーンズを履くと、なんかそれなりに見えなくもない。でもパジャマ。
なんか、すげえドキドキした。俺、今、会社をパジャマで歩いてるよ! みたいな。セキュリティールームにパジャマで入室! 厳重に隔離された部屋に、パジャマの男が! やわらかい! お客さんとパジャマで話し合い。パジャマ会談。
なんか話し合いの途中寝ても怒られなさそうじゃない? 俺寝たら、なんか、オルゴールみたいなの流れてね。もわんもわんした映像で。で、ちょっと起きて、音も止まったりするんだけど、そのうち、本格的におねむ。あらあら、みたいな感じで、お客さんも夏掛けみたいのかけてくれると思う。
こんなのも書いたよ。
ミスチルじゃないけど、何かを分かって欲しくてサインを出すことがあります。
この前、本社近くのさっぶい食事情のことを書いたんだけど、今俺はちょっと別の会社に常駐してまして、そこの会社の近くは活気に溢れていて食べ物に事欠かない。同じ東京都なのに! この格差! 今行ってる会社ってのは、ウチの会社より数倍大きいんだけど、なんだろ、こういう食とかそういうところから、な気がする。こんだけ日替わりでおいしいもん食べてりゃ、そりゃあ株も上がるわ。ブレーンもストーミングするわ。
まあ、いいんだけど、そうは言っても、長いこと居ると、だんだん、あのー、良く行く店と行かない店ってのが分かれてくるもので、僕らにも、行きつけ、と呼べる店ができた。そこの名前が、まあ、仮に、「四廠亭」、としましょうや。よしょうてい。で、ちょっと難しい字だったから、初め、僕らね、なんて読むか分からなかった。まあ、分からないまま何回か通っていたんですけど、ある日、店の座敷の隅をふと見たら、あのー、毛筆で、店の名前を書いたものが貼ってあって。その上に、ふりがながふってあった。
いてうよしよ
亭廠四
こんな感じで、なんつーか、右から読む感じで、こう、大正ロマンといいますか、書いてあったんですけど、あのー、先輩が、それを見て、
「あー、うよしよ亭って言うんだ」
何故、亭、だけ残して左から読んだんだろう。よく分からないけど、俺、びっくりして、
「いや、右から読むんじゃないですか?」
「あ、なるほど」
先輩も理解してくれた。と思っていたのですが。次の日。
「よしよう亭行こうぜ、よしよう亭」
こう、なんだろ、明らかに、日本語の経験則から、よしょう亭じゃないですか。ちっちゃくなるじゃないですか。言いにくいでしょ? よ・し・よ・うって、言いにくいでしょ? で、俺も、その場で「いや、よしょう亭でしょ?」とか指摘すれば良かったんですけど、あのー、「ああ、はい」とか言っちゃったんですよね。いや、ホント理由は無いんですけど、あー、めんどくさかったんですかね、とにかく、流してしまった。
そこからですよ。今まで、結局毎日のように先輩の提案で四廠亭には行っているんだけど、毎回、先輩は、よしようよしよう言う。でも、先輩に指摘できないでいる。だって、今更、「先輩、前前から気になってたんですけど……」とか言うのは非常に言いづらい。前前から、って、じゃあ何で早く言わなかったんだ、って話じゃないですか。泳がして馬鹿にしてたみたいでなんか嫌だ。すべては、初日に指摘しなかったからだ。
もう、こうなったら、先輩に自分で気づいてもらうしかない。そう思った俺は、もう、四廠亭で、事あるごとに「いやあ、よしょう亭は旨いなあ」だとか、「よしょう亭ってどういう意味なんすかね?」だとか、事あるごとに、よしょうよしょう言って、先輩にサインを送りつづけています。「しょ」の部分ものすごい速く発音してね。ちっちゃいよ! ちっちゃいんだよ!
まあ、でも、気づく気配は全く無く。今日もまた言いにくそうに、よしようよしよう言っている。まあ、そんなもんだよなあ。でも、アレだ、日本語って、そもそも言い易いように「よ」が小さくなったりするものだから、そのうち自然に先輩が「よしょう亭」と言い出す日が来るかもしれない。先輩の中だけで、日本語が進化していく。僕たちは、日本語の訛る過程の目撃者になれるかもしれない。学研の透明アリの巣観察セットの気分で見守ろうと思います。
まあ、サインの話に戻ると、あのー、まあ、人に分かってもらおうとしてサインを出しつづけていることって良くありますけど、逆にね、人が、俺にサインを出しているんじゃないか、と思うことがある。
家の近くに喫茶店があるんだけど、そこで出しているカレーが、俺、結構気に入ったんですよ。俺、何回か言ってますけど、あの、カレーは粉から作るくらい凝ってまして、あの、自分の好きな味は自分しか出せない、みたいなところがあるんで、こう、あんまり、人のカレーに感動することって、無いんですよ。
でも、そこの喫茶店のカレーがね、なんか、おいしかった。で、俺、ホント、この感動をみんなにも分けてあげたくって、あのー、何人くらいかなあ。7,8人くらい連れてったかなあ。全部サシで行ったんですけど、あ、だから、毎週連続で7,8回行ったことになる。
「ここのカレーは、ほんとおいしいんだ」
「ここの名物はカレーだから」
と念を押し、カレー以外を頼ませないようにして。
で、この前、またカレーを食べに一人で行ったんですけど、あのー、メニューに、見慣れないシールが貼ってあった。
「パスタが評判の店 ○○」
客が10人入れば一杯、のような店なんで、俺が毎週のようにカレーカレーはしゃぐ姿は、店員にも見えただろう。
うちはパスタで売ってんだよ! 勝手にカレーが名物とか言うな!
という、俺に対しての、サインなのではないか。
思わず、食べたくもないペペロンチーノを頼んだ。
この前、本社近くのさっぶい食事情のことを書いたんだけど、今俺はちょっと別の会社に常駐してまして、そこの会社の近くは活気に溢れていて食べ物に事欠かない。同じ東京都なのに! この格差! 今行ってる会社ってのは、ウチの会社より数倍大きいんだけど、なんだろ、こういう食とかそういうところから、な気がする。こんだけ日替わりでおいしいもん食べてりゃ、そりゃあ株も上がるわ。ブレーンもストーミングするわ。
まあ、いいんだけど、そうは言っても、長いこと居ると、だんだん、あのー、良く行く店と行かない店ってのが分かれてくるもので、僕らにも、行きつけ、と呼べる店ができた。そこの名前が、まあ、仮に、「四廠亭」、としましょうや。よしょうてい。で、ちょっと難しい字だったから、初め、僕らね、なんて読むか分からなかった。まあ、分からないまま何回か通っていたんですけど、ある日、店の座敷の隅をふと見たら、あのー、毛筆で、店の名前を書いたものが貼ってあって。その上に、ふりがながふってあった。
いてうよしよ
亭廠四
こんな感じで、なんつーか、右から読む感じで、こう、大正ロマンといいますか、書いてあったんですけど、あのー、先輩が、それを見て、
「あー、うよしよ亭って言うんだ」
何故、亭、だけ残して左から読んだんだろう。よく分からないけど、俺、びっくりして、
「いや、右から読むんじゃないですか?」
「あ、なるほど」
先輩も理解してくれた。と思っていたのですが。次の日。
「よしよう亭行こうぜ、よしよう亭」
こう、なんだろ、明らかに、日本語の経験則から、よしょう亭じゃないですか。ちっちゃくなるじゃないですか。言いにくいでしょ? よ・し・よ・うって、言いにくいでしょ? で、俺も、その場で「いや、よしょう亭でしょ?」とか指摘すれば良かったんですけど、あのー、「ああ、はい」とか言っちゃったんですよね。いや、ホント理由は無いんですけど、あー、めんどくさかったんですかね、とにかく、流してしまった。
そこからですよ。今まで、結局毎日のように先輩の提案で四廠亭には行っているんだけど、毎回、先輩は、よしようよしよう言う。でも、先輩に指摘できないでいる。だって、今更、「先輩、前前から気になってたんですけど……」とか言うのは非常に言いづらい。前前から、って、じゃあ何で早く言わなかったんだ、って話じゃないですか。泳がして馬鹿にしてたみたいでなんか嫌だ。すべては、初日に指摘しなかったからだ。
もう、こうなったら、先輩に自分で気づいてもらうしかない。そう思った俺は、もう、四廠亭で、事あるごとに「いやあ、よしょう亭は旨いなあ」だとか、「よしょう亭ってどういう意味なんすかね?」だとか、事あるごとに、よしょうよしょう言って、先輩にサインを送りつづけています。「しょ」の部分ものすごい速く発音してね。ちっちゃいよ! ちっちゃいんだよ!
まあ、でも、気づく気配は全く無く。今日もまた言いにくそうに、よしようよしよう言っている。まあ、そんなもんだよなあ。でも、アレだ、日本語って、そもそも言い易いように「よ」が小さくなったりするものだから、そのうち自然に先輩が「よしょう亭」と言い出す日が来るかもしれない。先輩の中だけで、日本語が進化していく。僕たちは、日本語の訛る過程の目撃者になれるかもしれない。学研の透明アリの巣観察セットの気分で見守ろうと思います。
まあ、サインの話に戻ると、あのー、まあ、人に分かってもらおうとしてサインを出しつづけていることって良くありますけど、逆にね、人が、俺にサインを出しているんじゃないか、と思うことがある。
家の近くに喫茶店があるんだけど、そこで出しているカレーが、俺、結構気に入ったんですよ。俺、何回か言ってますけど、あの、カレーは粉から作るくらい凝ってまして、あの、自分の好きな味は自分しか出せない、みたいなところがあるんで、こう、あんまり、人のカレーに感動することって、無いんですよ。
でも、そこの喫茶店のカレーがね、なんか、おいしかった。で、俺、ホント、この感動をみんなにも分けてあげたくって、あのー、何人くらいかなあ。7,8人くらい連れてったかなあ。全部サシで行ったんですけど、あ、だから、毎週連続で7,8回行ったことになる。
「ここのカレーは、ほんとおいしいんだ」
「ここの名物はカレーだから」
と念を押し、カレー以外を頼ませないようにして。
で、この前、またカレーを食べに一人で行ったんですけど、あのー、メニューに、見慣れないシールが貼ってあった。
「パスタが評判の店 ○○」
客が10人入れば一杯、のような店なんで、俺が毎週のようにカレーカレーはしゃぐ姿は、店員にも見えただろう。
うちはパスタで売ってんだよ! 勝手にカレーが名物とか言うな!
という、俺に対しての、サインなのではないか。
思わず、食べたくもないペペロンチーノを頼んだ。
こんなのも書いたよ。
半年くらい前に、会社の食堂に嫌気が差した。
あのー、まずいんですよ。本当にまずい。なんだろ、鯖味噌とか、鯖と味噌じゃないですか、不味く作るほうがスキルが要るんじゃねーか、とか思うんだけど、それを平気でやってのける天才たち、いわゆるアーティストが弊社にはおりましてですね、僕たちはその技術力に舌を巻くばかりなんですよ。
まあ、そういうわけで、多少高くなっても昼食くらいは外で美味しいものを食べようじゃないか、という機運が、こう、同期の間で巻き起こりまして、僕たちは裸足で外に飛び出したわけです。僕たちは自由だ! キャッホウ!
幸いなことに、ウチの会社のまわりというのは再開発地帯で、うちの本社が出来たのと同時にいくつか店舗が出来て、こう、本社を囲むように一通りの店が揃っている。名の通った和食チェーン、イタリアン、ファーストフードなど。
まあ、でも、逆に言えば、それだけ、なんですよ。会社の周りにぽっとできた店なんて、数ヶ月もすれば行き飽きてしまって、僕らは、さらに外、つまり敷地外へ足を伸ばそうとする。
するんだけど。あのー、再開発ってことはもともと廃れていた土地ってことで、敷地外は、しなびた商店街しかないんですわ。布団屋のとなりに布団屋、みたいな。お前ら、機能かぶってんじゃん、みたいな。布団を買い合っているんじゃないのか、みたいな。まあ、布団はどうでもいいんだけど、あの、まあ、その商店街のなかにさびれたラーメン屋が一軒あって、そこへ行くことになる。ていうか、俺たちだけでなく、すべてに飽きた人は、そこにたどり着く。約束の地、みたいな。
で、そこ、うまくもなんともないんですよ。まずくもないんですけど、うまくもなんともない。普通。普通さん。普通さんのおやじさんが、普通のラーメンさんを作っている。
でねー、ほら、俺たちと同じ思考で、社員食堂に嫌気が差し、会社の周りの店にも飽きた人たちは定期的にそのラーメン屋の門戸を叩くことになるから、あの、味に不釣合いなほど、客が居るんですよ。
で、最近、遂に、そのうまくもなんともないラーメン屋に行列ができるようになった。で、なんか、店が、椅子みたいの置き始めて。これに座ってお待ちください、みたいな。で、しかも店のオヤジ、GAPを着はじめて。GAPさんになっていて。まあ、GAPは別にいいんだけど、その、椅子? 椅子が俺はものすっごい許せなくて。だって、そんな、絶対外に椅子が置かれるような店じゃないから。なんだろ、それから、そのラーメン屋行ってない。
こう、店が勘違いする瞬間ってのがある。そういうのを見ると、ちょっと悲しくなる。
大学時代、あのー、英語の授業で、あの、講師が毎年1本外国映画を選んで、それをみんなで見るっていう講義があったんですよ。映画の感想を書けば単位もらえる、という美味しい講義だったので、かなり人気の講義だったんですけど。
でも、あの、ぶっちゃけ、その映画、英語だし意味わかんないんですよ。恐ろしいほど分からない。まあ、人が死ぬ話だなー、くらいしか分からない。
で、どうするかっていうと、ビデオ屋で探すわけですよね。字幕スーパー版を。でも、すごい古い白黒映画だったから全然見つからないんですよ。で、どうすべー、とか思っていたんですけど、そのうち、遠くの何とかっていうビデオ屋にあるらしい、みたいなウワサが流れて。
で、原付でブイーンと、行ったわけですよ。確かにあった。あったけれど、ストックは1本しかなくて、しかも貸し出し中。
あのー、古い映画だからそんな借りる人居ないし、借りてるのは絶対同じ講義の奴なんですよ。絶対なんですよ。で、俺は単位かかってるから原付でちょくちょく覗きに行きまして、まあ、何回目かにやっと借りることができて。
見たよ。なんか、想像してた話と全然違った。あれ? みたいな。死んだと思ってた人が死んでなかったり。本当にすさまじい英語力だ。人を一人殺してしまうんだから。
まあ、それはいいんだけど、めでたく感想文書き終わりまして、返しに行ったんですよ。もう、びっくりね。その、あのー、白黒映画のストックが、3本になっていた。
多分ここ数日で鬼のように貸し出されてさー、こう、店員も、人気作品だと思っちゃったんだろうなあ。なんかでブームに火がついたに違いない、みたいな。ニヤリ、みたいな。その瞬間が嫌だ。
あのー、まずいんですよ。本当にまずい。なんだろ、鯖味噌とか、鯖と味噌じゃないですか、不味く作るほうがスキルが要るんじゃねーか、とか思うんだけど、それを平気でやってのける天才たち、いわゆるアーティストが弊社にはおりましてですね、僕たちはその技術力に舌を巻くばかりなんですよ。
まあ、そういうわけで、多少高くなっても昼食くらいは外で美味しいものを食べようじゃないか、という機運が、こう、同期の間で巻き起こりまして、僕たちは裸足で外に飛び出したわけです。僕たちは自由だ! キャッホウ!
幸いなことに、ウチの会社のまわりというのは再開発地帯で、うちの本社が出来たのと同時にいくつか店舗が出来て、こう、本社を囲むように一通りの店が揃っている。名の通った和食チェーン、イタリアン、ファーストフードなど。
まあ、でも、逆に言えば、それだけ、なんですよ。会社の周りにぽっとできた店なんて、数ヶ月もすれば行き飽きてしまって、僕らは、さらに外、つまり敷地外へ足を伸ばそうとする。
するんだけど。あのー、再開発ってことはもともと廃れていた土地ってことで、敷地外は、しなびた商店街しかないんですわ。布団屋のとなりに布団屋、みたいな。お前ら、機能かぶってんじゃん、みたいな。布団を買い合っているんじゃないのか、みたいな。まあ、布団はどうでもいいんだけど、あの、まあ、その商店街のなかにさびれたラーメン屋が一軒あって、そこへ行くことになる。ていうか、俺たちだけでなく、すべてに飽きた人は、そこにたどり着く。約束の地、みたいな。
で、そこ、うまくもなんともないんですよ。まずくもないんですけど、うまくもなんともない。普通。普通さん。普通さんのおやじさんが、普通のラーメンさんを作っている。
でねー、ほら、俺たちと同じ思考で、社員食堂に嫌気が差し、会社の周りの店にも飽きた人たちは定期的にそのラーメン屋の門戸を叩くことになるから、あの、味に不釣合いなほど、客が居るんですよ。
で、最近、遂に、そのうまくもなんともないラーメン屋に行列ができるようになった。で、なんか、店が、椅子みたいの置き始めて。これに座ってお待ちください、みたいな。で、しかも店のオヤジ、GAPを着はじめて。GAPさんになっていて。まあ、GAPは別にいいんだけど、その、椅子? 椅子が俺はものすっごい許せなくて。だって、そんな、絶対外に椅子が置かれるような店じゃないから。なんだろ、それから、そのラーメン屋行ってない。
こう、店が勘違いする瞬間ってのがある。そういうのを見ると、ちょっと悲しくなる。
大学時代、あのー、英語の授業で、あの、講師が毎年1本外国映画を選んで、それをみんなで見るっていう講義があったんですよ。映画の感想を書けば単位もらえる、という美味しい講義だったので、かなり人気の講義だったんですけど。
でも、あの、ぶっちゃけ、その映画、英語だし意味わかんないんですよ。恐ろしいほど分からない。まあ、人が死ぬ話だなー、くらいしか分からない。
で、どうするかっていうと、ビデオ屋で探すわけですよね。字幕スーパー版を。でも、すごい古い白黒映画だったから全然見つからないんですよ。で、どうすべー、とか思っていたんですけど、そのうち、遠くの何とかっていうビデオ屋にあるらしい、みたいなウワサが流れて。
で、原付でブイーンと、行ったわけですよ。確かにあった。あったけれど、ストックは1本しかなくて、しかも貸し出し中。
あのー、古い映画だからそんな借りる人居ないし、借りてるのは絶対同じ講義の奴なんですよ。絶対なんですよ。で、俺は単位かかってるから原付でちょくちょく覗きに行きまして、まあ、何回目かにやっと借りることができて。
見たよ。なんか、想像してた話と全然違った。あれ? みたいな。死んだと思ってた人が死んでなかったり。本当にすさまじい英語力だ。人を一人殺してしまうんだから。
まあ、それはいいんだけど、めでたく感想文書き終わりまして、返しに行ったんですよ。もう、びっくりね。その、あのー、白黒映画のストックが、3本になっていた。
多分ここ数日で鬼のように貸し出されてさー、こう、店員も、人気作品だと思っちゃったんだろうなあ。なんかでブームに火がついたに違いない、みたいな。ニヤリ、みたいな。その瞬間が嫌だ。
こんなのも書いたよ。