2004-05-31   思考  
 今行っている会社、というのは、実は去年の年末にもお世話になっていたところで。実は、あまり良い思い出が無い。

 今はそのビルの15階のわりと快適な部屋に鎮座して、なんだ、お菓子とかむしゃむしゃ食べながら自由にお仕事させてもらっているのですが、去年の12月頃だったかなあ、同じビルの7階でせこせこと一人作業をしておりました。同じビルでも15階と7階の待遇の違いは雲泥の差。7階はサーバールームといって、まあ、高いマシンがいっぱい並んでいる暗い部屋。で、マシンの温度を下げるためになんか常に寒い。もちろん飲食禁止。しかも、その部屋は本当はそこの社員の人しか入れないため、なんだろ、出入りするのに、社員カードが必要なんですよ。つまり、出入りするときは、いちいちそこの社員さんを呼ばなければならない。それがおっくうなので、まあ、めったなことないと外に出なくなり、まあ、本当に暗い生活を送りました。まあ、囚人ですわ。言ってみればね。

 そんなところに居ると、何か、変なことに熱中する気持ち、わかるでしょうか。グリーンマイルで年老いた囚人がネズミを手慣らしたように、俺も、自然と何かそういう方向へ気持ちが向いていた、といいますか。

 ある日、俺、こう、トイレで用を足してたわけですけど、あの、何気なく、何気なくね、トイレットペーパーのロールを、あの、なんだ、ホテルのトイレみたく、三角折りに、したんですよ。
 次の日、まあ、昨日のことなんてすっかり忘れてトイレへ行ったんですけど、あの、ペーパーが、三角折りされている。もう、びっくりしましたよ。この会社に何人の人が居るかは知らないけど、昨日から今日までのあいだ、三角折りの、なんつーの、リレーが、続いたわけじゃないですか。すごい。まあ、内容は何であれ、こう、みんなが一つになるのって美しい。それがトイレであっても。

 その日から、俺がトイレへ行くと、いつもトイレットペーパーは三角折りになっていました。俺は、それをまた三角折りにし、次の人に繋ぐ。たったそれだけのことだけど、とても、楽しかった。まだ見ぬたくさんの人たちと、一つの何かを作っている。そう実感できた。

 で、なんだろ、そのリレーが始まってから、半月くらい経った頃でしょうか。
 俺、いつものようにトイレへ行ったんですけど、あのー、すぐ後に打ち合わせが控えていまして、かなり慌ててたんですわ。で、こう、まあ、三角折りどころではなくって。まあ、折ることは折ったんだけど、なんだろ、三角形の頂点が、かなり右側に偏ったような、すごい不恰好な折り方になってしまった。まあ、でも、時間無いですから、そのまま行ってしまったわけですよ。

 で、次の日トイレへ行ったんですけど。そこには、見慣れた、右側に偏った三角折りが。

 えー! あれー!! 何で!!!
 この事実から、考えられることは2つ。

・この会社の人はとてもユニークで、右側に偏った三角形の形状をそのままリレーした。
・そもそも、俺しかこのトイレを利用していなかった。

 嫌だ。後者は嫌すぎる。まじかよ。いや、そんなことは無い。無いと思いたい。無いと思いたかったけれど、一応、会社の人に聞いてみたんですよ。そしたら、

「ああ、7階はサーバールームのほかは空きなので、ヤスノリさんしか居ないと思いますよ」

ギャー!! 俺は、一人で、何をしていたんだ。誰かと一緒に何かを作っているつもりが、実は一人ぼっちだったという事実。そもそもこの世界は俺一人だった。あの感動は全部まぼろしだった。痛い。心臓がリアルで痛い。

 俺は、ごく自然に、トイレットペーパーを3つ盗んだ。





2004-05-18   思考  
 あのー。アレですよ。昨日は、初めてリアルタイムのネットラジオというものを聴いてみたんですけど、あれは、面白そうですね。いろんなことができそうだ。一人いろいろ企画考えて、えっへへへー、みたいなこと思ってにやにやしていたんですけど、よく考えたら、うちはエアーエッジだった。放送するどころか、聴くのもままならなかった。やりたくてもやれない。そもそも、何故うちはエアーエッジなのか。それは、家柄が卑しいからだ。

 まあ、それはいいんだけど、なんだろ、最近、俺って戦士だなあ、と思うことがあって。
 いきなり、何を、言っているんだ、こいつは、みたいなアレですけど、まあ、戦士だなあ、と思うことがありまして。まあ、まず、戦士とは何ぞや、ということなんですけど、目の前の戦いに勝つためには、多少の犠牲をいとわない、といいますか。
 俺が最近、「戦士だ!」と思ったのは、あの、サッカー選手ね。この前ニュースで見たんですけど、あのー、ヘディングのしすぎと、痴呆とのあいだに、相関関係があるってことが認められた、らしいじゃないですか。ヘディングをしすぎると、老後痴呆になってしまう! 高原! 久保! みんな痴呆になってしまう! なんか、味方のゴールにシュート撃っちゃったり。敵チームとユニフォーム交換したあと、それを着て、今度は味方とユニフォーム交換してしまって、なんだ、手に残ったのは味方のユニフォームじゃないか、みたいなのとか。あれー? とか。どういことだ、みたいな。

 まあ、それはいいや。それはいいんだけど、とにかく、そう、ヘディングをしすぎると、痴呆になるんですよ。しかし、その発表がなされてから、ヘディングを自粛しているか。NO。ボッコンボッコンヘディングを狙っていらっしゃいます。痴呆になる恐れがあるって? 敵のゴール前では、そんなことは言っていられない。今彼らにできることは、目の前のゴールにボールを入れることのみ。

 かっこいい。寿命を縮めてでも、今、この戦いに勝利することのみを考える。それこそ戦士じゃないか。

 まあ、かくいう俺も、アレですよ。戦士だなー、と思う瞬間が最近ありまして。
 最近、ひどく眠たいんですよ。時々、まったく仕事にならないくらい眠い。もしかしたら自分は眠り姫の親戚じゃないか、と思うことがある。眠り姫ってなんだっけ。まあ、知らないんですけど。
 で、まあ、眠い時、どうするかっていうと、栄養ドリンク飲むと、まあ、けっこう、しゃっきりする。でも、今、本社じゃなくて、ちょっと別の会社に出向しているのですが、そこの会社、栄養ドリンクが売ってないんですよ。唯一それっぽいのが、あの、リアルゴールド。まー、かなり妥協して、リアルゴールド。
 
 で、リアルゴールドなんですけど、なんだ、最近、アルミ缶に入ってるのね。昔、あれ、ビンだったですよね。いつの頃からか、アルミ缶になった。で、アルミ缶の炭酸飲料って、ちょっと危ない、みたいなこと聞きません? 本当かどうかは知らないですけど、いくぶん、アルミは、炭酸で溶けちゃって、それを飲むと体内に入ってしまう。で、アルミが体内に蓄積されると、痴呆になる、というようなことを、あのー、昔聞いたことがあります。裏はとってないですよ、ねんのため。ただ、そういう話がある、と。

 で、眠い日とかに売店行って、リアルゴールドの前で考えるんですよ。これを飲むと、今日の仕事がはかどる。しかし、飲むと、あとで痴呆になる。それは嫌だ。
 でも、俺は、リアルゴールドをむんずと掴んで、レジへ行くわけですよ。なぜなら、俺は、企業戦士だ。今日の戦いに、勝たなければならない!

 将来を犠牲にしてでも、今日という日を勝ち抜かねばならない。今日という日を勝ち抜かなければ、将来すら無いのだから。
 で、売店の前でグイと飲み干して、ポケットに手をつっこみ、最前線へ戻っていく。
 かっこいいなあ、俺。戦士じゃん。戦士やってんじゃん。

 昨日も、将来を犠牲にして、リアルゴールドを飲みました。
 そのあと、LANケーブルが抜けてることに気づかず、20分間悩みました。あれー、おっかしいなあ、とか言って。

 痴呆は意外に早く進んでいるようです。




2004-04-11   思考  
アウトソーシング、という言葉がある。

 例えば、自社でのノウハウが少ないIT部門を、部門ごと別のIT会社に任せてしまう。自分の会社で慣れないことを無理してやるより、外に任せたほうが、人員をかける手間も、失敗するリスクも減る。
 こういう特定の処理の委譲は、会社というよりむしろ人間のほうが昔から得意としている分野で、「餅は餅屋」という言葉のとおり、いろんなものを外のソースに頼ってきました。
 料理の苦手な母親は総菜屋に料理部門を委譲し、勉強の苦手な荒川君は石井君に宿題部門を委譲し。
 で、俺もね、最近、ある機能をアウトソーシングできることに気づいて。

 切符を買う時の、お金の計算。

 例えば、130円の切符を買うためには、普通、100円を1枚と、10円玉を3枚を財布の中からセレクトしなければならないわけですが、これが、意外と時間がかかる。特に俺の財布は小銭入れ部分が小さいので、こう、1本の指だけで小銭を内壁にへばりつけながら取り出すことになるんだけど、この方法で目当てのコインだけを取り出すのは至難の業なわけで。10円だと思って取り出したコインが実は5円で、戻して、次のコインを取り出したら、取れたのはさっきの5円で、気が付いたら後ろには長蛇の列で。

 でも、よく考えてみれば、切符の自動販売機には、130円だけを抜き出す能力が既に備わっている。これをフル活用すれば、いいじゃないか。

 1本指方式で抜き出したコインを何も考えずに入れつづければ、機械は130円を満たした時点で切符を発行してくれるわけだ。別に、コインをわざわざ選んで入れる必要は無いじゃないか。5円や1円が抜き出された場合も、無条件に機械に突っ込めばいい。1円や5円をはじくのも、機械の仕事。お金の計算を機械に完全に委譲することによって、俺の仕事は本当に簡単なものになる。財布から出たコインを入れるのみ。余ったり不正なコインならば出てくる。それだけ。

 これに気づいてから、お金を数えること自体がめんどくさくなってきて、最近では、コンビニでもこの方式を使うようになってきました。444円になります、と言われた時、俺は、手当たり次第にお金をじゃらじゃらと出して、並べる。そうすると、コンビニの店員が、勝手に目当ての分だけを取り出してくれるのだ。こっちはまったく頭を使わずに、お金を払うことができる。素晴らしい!

 思えば、昔からお金の計算に関しては楽をすることばかり考えていました。。

 小学校の修学旅行で、指定の売店でおみやげを買うことになったんだけど、おこづかいの限度額が3000円だったんですよね。しかも、学校指定の売店だから、レジの人は僕らの規則を良く知っていて、3000円までしか売ってくれないことになっていて。
 で、みんな、合計金額が3000円以下になっているかどうか、一生懸命計算してるわけですよ。

 俺は、そこで、発明をしてしまうわけですよね。3000円以内に収まってるかどうかなんて、自分で考えることないじゃないか。3000円チェッカーが、居るじゃないか。俺は、適当にその辺のキーホルダーやら何やらをを籠に入れ、得意顔でレジへ持っていきました。もし3000円を越していたら、そこでいくつか返品すればいいだけのことだ。俺は、最も少ない労力で、3000円以内かどうかを判断できる。俺って天才じゃないか。

 でも、売店の人は、余裕で合計3000円越す商品を持ってきた俺を、ちょっと頭の悪い子だと思ったんでしょうね。「いい? ほら、全部足すと、3000円より多くなるでしょ? ちょっと難しいかな?」みたいなことを言ってきて。
 いやいやいや! 分かってるんだよ。分かってるけど、めんどくさいから、あんたにやらせてんだよ! 強いていれば、俺のほうが、一枚上手なんだよ!

 なんで、うまいこと考えた俺が馬鹿にされなければならないのか。非常に腹立たしい。

 そういえば最近、近所のコンビニで、1000円以内の買い物の場合、1000円札を出した瞬間に、「1000円からお預かりします」と、そそくさと会計されるようになった気がする。お前の小銭を数えるのには、もううんざりだ! といったところでしょうか。コンビニ店員の乱。

 おかげで、ただでさえ入れる場所の小さい財布の小銭ポケットがパンパンです。ごめんなさい。ちゃんと数えて出すから、小銭を払わせてください。




2004-02-12   思考  
 リロードのできない人が居る。

 電車の中でよく見るのが、あのー、ありえない場所のつり革を握っている人。なんか、人の頭を越えた先のつり革をわざわざ頑なに握っている人をよく見かけて、あー、と思う。あのー、なんだ、おそらく、10分前までは、その人にとって、直近のつり革は、それだったんだろう。でも、さっきの駅でいっぱい人が乗ってきたことによって、電車内の地図は大幅に変わってしまった。しかしその男は、それに気づかない。もう一回自分の周りを見渡せば、より近いつり革の存在に気づくのに。

 こんな感じで、僕たちは、一旦立ち止まってリロードして、新しい情報に書き換えなければならないことがあります。でも、意外とそれを忘れている人が多い。それは、周りが見えていない証拠。遠くのつり革をいつまでも握っているお前! だからお前は駄目なんだよ! だからお前は女房にも逃げられるし、飼い犬にはなつかれないし、メールは送信に失敗するんだよ! と、思いっきり馬鹿にしていたのですが。

 この前テレビを見ていまして、えー、あの、なんだ、日曜にね、よくやってる、都内の美味しい店を芸能人が巡ってうまいうまい言う番組だったんですけど、「どうせ俺はいけねーよ」とか思いながら見てました。よく考えたら、俺、横浜来てるんだし、行き放題じゃないか! いつまで仙台気分なんだ。丸一年、都内で働く身分でありながら、ああ、東京の旨い店とか一度でいいから行ってみてー、とか思ってました。どんだけリロードしてないんだ、俺は。





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