2004-09-27   メッセログ  
ケイコの発言:
こんばんは。

雄二の発言:
こんばんは。

ケイコの発言:
ご飯食べた?

雄二の発言:
吉野家行ったよ。

ケイコの発言:
何食べたの?

雄二の発言:
まずいいくら鮭丼食べてきたよ。

ケイコの発言:
まずいの?

雄二の発言:
まずいね。鮭とかただのフレークだし。

ケイコの発言:
まずいなら行かなきゃいいのに。

雄二の発言:
でも、行くんだよ。

ケイコの発言:
なんで。

雄二の発言:
今まで、俺は、吉野家に本当にお世話になってきた。

ケイコの発言:
ああ。

雄二の発言:
朝まで飲んだ後、始発が出るまでの素敵な時間を提供してくれたのは、吉野家だった。

ケイコの発言:
うん。

雄二の発言:
お金がないけど肉が食べたい! そんな学生の理不尽な要求を暖かく包み込んでくれたのは、吉野家だった。

ケイコの発言:
うん。

雄二の発言:
そんな吉野家が、今、ピンチだ。

ケイコの発言:
うん。

雄二の発言:
今度は俺が、吉野家を支える番だ。

ケイコの発言:
えらいね。

雄二の発言:
吉野家に限らず、牛丼屋の売上は厳しいらしいよ。

ケイコの発言:
だろうね。

雄二の発言:
BSE、いわゆる狂牛病のせいで、

ケイコの発言:
うん。

雄二の発言:
牛丼屋はのきなみBAD、いわゆる低迷しているわけで、

ケイコの発言:
うん。

雄二の発言:
SAD、いわゆる泣いているわけですけど、

ケイコの発言:
うん。

雄二の発言:
BUT、いわゆるしかし、

ケイコの発言:
うん。

雄二の発言:
EAT、いわゆる私は食べる。

ケイコの発言:
うん。

雄二の発言:
ELT、いわゆるエブリリトルシング。

ケイコの発言:
ELTは関係ないよね。

雄二の発言:
そうだね。

ケイコの発言:
うん。

雄二の発言:
がんばってほしいよ。本当に。

ケイコの発言:
まあ、牛丼、国民食と言われるまでになったもんね。

雄二の発言:
この間、っても、まだ牛丼ある頃だけどさ、

ケイコの発言:
うん。

雄二の発言:
女子高生が、「並つゆだくギョクー」って流暢に注文してるのを見て、ちょっと感動したもの。

ケイコの発言:
もう通だけのものじゃないってことね。

雄二の発言:
でも、そのあと、つゆだくの牛丼が運ばれてきて、「なんかツユ多くない?」みたいなことを言ってて、殴りたくなった。

ケイコの発言:
自分で頼んだのにね。

雄二の発言:
まあ、それも今は昔。

ケイコの発言:
まあね。

雄二の発言:
今は、豚キムチ丼とか代替メニューで何とか乗り切るしかないんだよね。

ケイコの発言:
まあ、そうだね。

雄二の発言:
うん。

ケイコの発言:
つらいね、吉野家。

雄二の発言:
つらいのは吉野家だけじゃない。すき家とかもつらい。

ケイコの発言:
ああ。

雄二の発言:
おととい、すき家行ったんだよ。

ケイコの発言:
すき屋には、今何があるの?

雄二の発言:
ハンバーグカレー。

ケイコの発言:
え?

雄二の発言:
牛肉あるんじゃん! っていうね。

ケイコの発言:
あるね。

雄二の発言:
1ヵ月後とかに、バイトが、店に山と積まれた牛肉を見て、「あれ、これで牛丼作れば良いんじゃない?」って気づいたりして。店長も、「あ、そうかー」とか言って。

ケイコの発言:
何でそんなに馬鹿なの?

雄二の発言:
多分だけど、数ヶ月まえ、すき家で、牛丼に代わるメニューを考えよ、っていう会議をやったんだよ。

ケイコの発言:
うん。

雄二の発言:
でも、豚丼ぐらいしか意見も出ない。社長もしびれを切らして、「おい、何かないのか、この役立たずども!」

ケイコの発言:
えらい言われようだね。

雄二の発言:
だって、会社の生命線である牛肉がもうそろそろ切れるんだよ。会社の危機だし、そりゃあ声も荒げるよ。

ケイコの発言:
まあ。そうか。

雄二の発言:
そこで、なんか鼻たらしたような新人が、「ハンバーグカレーなんてどうっすかー」

ケイコの発言:
わあ。

雄二の発言:
「いいねえ!」「それだ!」「早速、ハンバーグ用の牛肉を調達しろ!」

ケイコの発言:
えー。

雄二の発言:
数日後、「社長! BSEの影響で、ハンバーグ用の牛肉が手に入りません!」

ケイコの発言:
分かってたことだよね?

雄二の発言:
「何だとう!? 神は、再び我らに試練をお与えになるのか!」

ケイコの発言:
いや、分かってたよね?

雄二の発言:
「社長、どうしますか!」

ケイコの発言:
うん。

雄二の発言:
「どんな汚い手を使ってでもハンバーグのための牛肉を手に入れろ!」

ケイコの発言:
えー。

雄二の発言:
決死の企業努力で、何とか、牛肉を手に入れることに成功したすき家。

ケイコの発言:
うん。

雄二の発言:
「やったあ! 牛肉だ!」「これで牛丼に代わるハンバーグカレーが作れるぞ!」

ケイコの発言:
おかしいよね。

雄二の発言:
そろそろ、気づく頃かな。

ケイコの発言:
うーん。

雄二の発言:
ね。

ケイコの発言:
オーストラリア産のミンチなら安く手に入ったとかそういうことじゃないの?

雄二の発言:
あー! 夢の無いことを言うなよ!

ケイコの発言:
ああ、ごめん。

雄二の発言:
お前は、なんだろーなー、もー。ほんと駄目。お前は、ほんと駄目。

ケイコの発言:
そんな言い方しなくても。

雄二の発言:
お前は、なんか、2階から剣山みたいの落ちてきて死ね。

ケイコの発言:
嫌だよ。

雄二の発言:
その時、「ぎゃふん」って言え。

ケイコの発言:
言わないよ。

雄二の発言:
で、2機目になれ。

ケイコの発言:
ゲームなの?

雄二の発言:
でも、同じところで剣山に当たって死ね。

ケイコの発言:
同じ過ちはしないよ。

雄二の発言:
まあ、いいけども。

ケイコの発言:
うん。

雄二の発言:
寝るかな。

ケイコの発言:
おやすみ。

雄二の発言:
おやすみ。





2004-03-07   思考  
 あのー、この前テレビで、吉野家よりも前に牛丼を切らした、なんだったかな、あのー、どっかの牛丼チェーンの最後の牛丼を食べた人、ってのがインタビューされてたんですよ。なんか、「え、これで牛丼終わりなんですかー?」みたいな、カップルで「たまたま来たんだよネ」みたいな、全然、こう、消え行く牛丼の悲しさがまったく伝わらない人が最後の客だったんですけど。まあ、そんなもんだよなあ、と思います。最後の客が、都合よく、牛丼で泣けるような奴のはずが無い。

 最近本で読んだんだけど、テーマパークの入場者100万人記念とかは、ヤラセらしい。

 まあ、数えてることは数えてるんですけど、その近辺で、こう、絵になりそうな人を、選んでいるんだとか。まあ、そうだろうなあ、とは思っていたんですけど、だって、なんだろ、男子大学生だけ、とか、もっさいだけじゃないですか。多分インタビューとかしても、ものっすごいエロいこと言うよ。エロでエロを包んだようなことを言うよ。それよりもね、なんか、あったか家族みたいなのが良いだろうし、可愛い子とか居ればなおさら見栄えもよくなるし。

 馬鹿正直に100万人目を選んでいたら、どんな猛者が現れるか知れない。

 で、ちょっと思い出したんですけど、ウチね、昔、家族でつくば万博行ったんですけど、あのー、うしろのうしろの家族が、なんやら、その、何万人記念、みたいなやつもらってたんですよ。
 当時は、「あー惜しい!」みたいな、父親が、「あのときもうちょっと寝てれば、なあ。お母さんがせかすから」「お父さんは起こさなかったらずっと寝てたじゃない!」「そうかい? あっはっはっは」みたいな、そんな、ほのぼの空気だったのですが、今考えると、俺ら、絵にならなかっただけじゃん。落選してんじゃん。

 まあ、確かに、ウチは、絵にならない。ならないわ。だって父親は変なジャージに、カナダのお土産の妙にリアルな狐の絵が書いてあるTシャツをいつも着ていて、俺もまったく同じ服装をしていたから。まあ、片田舎から出てきたような、そんなにおいが立ち込めていたんだと思う。なんだろ、科学万博には行ったものの、科学とは縁遠いところに住んでたからね。すんごい田舎で、まず、家の前の道が、こう、山に向かって続いているんだけど、どこに繋がっているのか、近所の人も含め誰も知らない、という。「富士の樹海に繋がっている」「いや、途中で川になって、切れてるんだ」と、さまざまな憶測が飛び交う。科学万博だの、ロボットだの、3Dだのそういうモノの前に、ウチの道の終着点をはっきりさせてくれっつー。

 俺も、何だろ、子供の頃すんごい頑張って探検したんだけど、結局最後を見ることは無かったですね。なんかねー、すげえ怖いの。5時間くらい歩いたんですけど、どんどん森は深くなっていくし、見たことも無い文字が書いてあるほこらとか出てくるし。猿が木をゆっさゆっさして威嚇してくるし。何だ、ここは、みたいな感じで逃げ帰って来た覚えがあります。

 で、どうしてもその道の最後を知りたくなった俺は、そうだ、地図を見よう、と思って。ね、地図を見れば、一目瞭然じゃないか。これ思いついたのが小学校5年なんですけど、まあ、もっと早く気づけっつーアレですけど、まあ、本屋へチャリンコを飛ばしたんですよ。まあ、この本屋っつーのが、これ話すだけでまた長くなるので割愛するんですけど、まあ、本屋で地図をむんずと掴みまして、確認したわけですよ。ウチの前の道路は、点線で書かれていました。うっすーい、点線で。で、山の中腹辺りで切れている。適当!! ウチ、適当な扱いされてるよ!!

 あの時のショックは、今でもはっきり覚えています。家に帰る道が、点線に見えたもんね。点線沿いに住む家族の物語。父は点線のような薄いコーヒーを飲み、母は点線のように薄い愛で僕たちを包み、犬は点線のように薄く僕たちになついていた。

 そんな家族が、記念の人に選ばれる筈も無かった。

こんなのも書いたよ。



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