えー、まずは、このたびはご愁傷さまでございました。
私、故人より遺言執行者を仰せつかりました、弁護士の大山です。
えー、遺言執行者と言いましても、今回の場合、ご本人様が遺言状を用意してございますので、これのとおりに執行するお手伝いをする、というだけでございます。
それでは、遺言状を読み上げさせていただきます。あ、この遺言状ですが、清吉様、あ、MC.KUZUMOCHI様の希望により、オリジナルソングの形式をとらせていただいております。
えー、私は法律の専門家ではございますが、こういったものを歌うのは素人ですので、お聞き苦しい点あるかとは思いますが、ご了承くださいませ。
えー、では、読み上げます。
ズン ズン ダダッ ダダッ
ズン ズン ダダッ ダダッ
キュッキュッキュキュ キュッキュッキュキュ
キュッキュッキュキュッキュッキュッキュキュッキュッキュッキュキュッ……
ズン ズン ズン ダッ
Hey Hey 俺がMC.KUZUMOCHI
すずらん園のイケてるマイク持ち
園のやつらは だいたい友達
今日のお前ら 右手に数珠持ち
長男「えっと、変わった遺言状だね」
次男「MC.KUZUMOCHIって何だよ、まじでダリー」
長女「父さんの遺作よ。ちゃんと聞きましょう?」
長男「父さん、老人ホームにラッパーが慰問に来てからラップにハマってたからなあ」
長女「何にせよ、最後の3ヶ月間、夢中になるものがあって良かったじゃない」
長男「でも普通さ、晩年にハマるのって俳句とか短歌とかじゃないの?」
長女「あら、いいじゃない。形式の中で想いを表現するっていう点では同じよ。素敵だわ」
長男「シッ、続きが始まる」
隣の鈴木だけはマジで頭突き
俺の飯を 黙って食べる
長男「あっ鈴木さんとこのおじいちゃんをdisった」
長女「仲悪かったのかしら」
弁護「次いってよろしいでしょうか」
長男「あ、すいません」
介護士NAKADAマジリスペクト
俺の大好物 こんぺいとう
長男「えっこんぺいとうそんなに好きだっけか」
次男「リスペクトとかけたかっただけだろ」
長男「ラップから考えちゃったのかな」
長女「ラップから考えちゃったのかもしれないわね」
次男「ダッセ」
長女「ラップ始めたばっかりだったから仕方ないじゃない。荒削りだけど心に響くわ」
長男「そうだな。なんかこう、あれだな。プロのリリックには無い、グッと来るものがあるよな」
次男「ねえよバーカ」
弁護「続きを歌ってよろしいでしょうか」
長男「あ、お願いします」
Stand up 立ち上がれ 葬式上がりの 痺れた足で
Heat up はじまるぜ 常識破りの Memorial day
Hey Hey そこの遺族たち
耳かっぽじって よく聞きな
遺産分割超めんどい 正直な
だからすぐ終わらす もうじきさ
俺の遺産五千万 これから全部ご精算
長男「五千万あったのか」
次男「どうせ姉貴がもってくんだろ、胸糞ワリィ」
長女「死んだ人の前でそういうことなんで言えるの。あんた席はずしなさい」
次男「うるせーよ、お前の葬式にしてやろうか」
長女「本当にあんたは人として最低ね。呼ばなければ良かったわ」
弁護「えー、続きを歌ってよろしいでしょうか。具体的な金額になりますので」
長男「あ、すいません、よろしくお願いします」
まっすぐ育った我が長女
生ける天使 天真爛漫 あげる3万
長女「ちょ、ちょっと待ってください!」
弁護「はい」
長女「あたし3万ですか!?」
弁護「えーっと、そうですね」
長女「……」
弁護「続けてよろしいでしょうか」
心優しい長男 お前が居るだけで幸せ充満
だから10万
長男「ん? ん?」
弁護「はい」
長男「10万、ということですかね」
弁護「そう、なりますね」
長男「あー、えー? えーっと」
弁護「続けてよろしいでしょうか」
極悪非道 不良の次男
世間様に迷惑千万 あげる千万
次男「おっ、やりィ!」
長女「ちょっと!」
弁護「はい」
長女「おかしいでしょ!」
弁護「遺言状なので」
長女「なんで迷惑千万で1千万なのよ!」
弁護「さあ。私に言われましても」
長女「ラップだから?」
弁護「ラップだからでしょうか」
長男「ラップから考えちゃったのかな?」
弁護「そこまでは存じ上げませんが、ラップから考えちゃったのかもしれません」
長女「憎い! ラップが憎い!」
次男「ヒャハー! ラップ最高!」
私、故人より遺言執行者を仰せつかりました、弁護士の大山です。
えー、遺言執行者と言いましても、今回の場合、ご本人様が遺言状を用意してございますので、これのとおりに執行するお手伝いをする、というだけでございます。
それでは、遺言状を読み上げさせていただきます。あ、この遺言状ですが、清吉様、あ、MC.KUZUMOCHI様の希望により、オリジナルソングの形式をとらせていただいております。
えー、私は法律の専門家ではございますが、こういったものを歌うのは素人ですので、お聞き苦しい点あるかとは思いますが、ご了承くださいませ。
えー、では、読み上げます。
ズン ズン ダダッ ダダッ
ズン ズン ダダッ ダダッ
キュッキュッキュキュ キュッキュッキュキュ
キュッキュッキュキュッキュッキュッキュキュッキュッキュッキュキュッ……
ズン ズン ズン ダッ
Hey Hey 俺がMC.KUZUMOCHI
すずらん園のイケてるマイク持ち
園のやつらは だいたい友達
今日のお前ら 右手に数珠持ち
長男「えっと、変わった遺言状だね」
次男「MC.KUZUMOCHIって何だよ、まじでダリー」
長女「父さんの遺作よ。ちゃんと聞きましょう?」
長男「父さん、老人ホームにラッパーが慰問に来てからラップにハマってたからなあ」
長女「何にせよ、最後の3ヶ月間、夢中になるものがあって良かったじゃない」
長男「でも普通さ、晩年にハマるのって俳句とか短歌とかじゃないの?」
長女「あら、いいじゃない。形式の中で想いを表現するっていう点では同じよ。素敵だわ」
長男「シッ、続きが始まる」
隣の鈴木だけはマジで頭突き
俺の飯を 黙って食べる
長男「あっ鈴木さんとこのおじいちゃんをdisった」
長女「仲悪かったのかしら」
弁護「次いってよろしいでしょうか」
長男「あ、すいません」
介護士NAKADAマジリスペクト
俺の大好物 こんぺいとう
長男「えっこんぺいとうそんなに好きだっけか」
次男「リスペクトとかけたかっただけだろ」
長男「ラップから考えちゃったのかな」
長女「ラップから考えちゃったのかもしれないわね」
次男「ダッセ」
長女「ラップ始めたばっかりだったから仕方ないじゃない。荒削りだけど心に響くわ」
長男「そうだな。なんかこう、あれだな。プロのリリックには無い、グッと来るものがあるよな」
次男「ねえよバーカ」
弁護「続きを歌ってよろしいでしょうか」
長男「あ、お願いします」
Stand up 立ち上がれ 葬式上がりの 痺れた足で
Heat up はじまるぜ 常識破りの Memorial day
Hey Hey そこの遺族たち
耳かっぽじって よく聞きな
遺産分割超めんどい 正直な
だからすぐ終わらす もうじきさ
俺の遺産五千万 これから全部ご精算
長男「五千万あったのか」
次男「どうせ姉貴がもってくんだろ、胸糞ワリィ」
長女「死んだ人の前でそういうことなんで言えるの。あんた席はずしなさい」
次男「うるせーよ、お前の葬式にしてやろうか」
長女「本当にあんたは人として最低ね。呼ばなければ良かったわ」
弁護「えー、続きを歌ってよろしいでしょうか。具体的な金額になりますので」
長男「あ、すいません、よろしくお願いします」
まっすぐ育った我が長女
生ける天使 天真爛漫 あげる3万
長女「ちょ、ちょっと待ってください!」
弁護「はい」
長女「あたし3万ですか!?」
弁護「えーっと、そうですね」
長女「……」
弁護「続けてよろしいでしょうか」
心優しい長男 お前が居るだけで幸せ充満
だから10万
長男「ん? ん?」
弁護「はい」
長男「10万、ということですかね」
弁護「そう、なりますね」
長男「あー、えー? えーっと」
弁護「続けてよろしいでしょうか」
極悪非道 不良の次男
世間様に迷惑千万 あげる千万
次男「おっ、やりィ!」
長女「ちょっと!」
弁護「はい」
長女「おかしいでしょ!」
弁護「遺言状なので」
長女「なんで迷惑千万で1千万なのよ!」
弁護「さあ。私に言われましても」
長女「ラップだから?」
弁護「ラップだからでしょうか」
長男「ラップから考えちゃったのかな?」
弁護「そこまでは存じ上げませんが、ラップから考えちゃったのかもしれません」
長女「憎い! ラップが憎い!」
次男「ヒャハー! ラップ最高!」