ぶつけられた豆がラップに包まれてた。
悪い予感はしてたの。俺そういうとき、右の角の付け根がうずくから。キーンて。
今日の昼くらいかな。
ここの家の奥さんがね、急にインターネットで豆について検索してるから、俺めちゃくちゃ焦って。
遂に来たか、と。遂にこの家から追い出される日が来たか、と。
例えば水飴とピーナッツで豆をあえてカリッカリにしたら、ピーナッツのとこものすごい痛い。殺人豆、や、殺鬼豆が出来上がるわけですよ。
あと単純に油でカラッと揚げたやつでも、できたてめっちゃ熱いからね。あれマジで。マックでポテトの揚げたて食べたことある? あの揚げたてを、クルーが変なヘラでザーってすくってそのままヤー! って投げつけてきたらどう? 熱くて死ぬよね。
だからまあ、俺らを追い出す方法は実際あるわけよ。
で、そう。奥さんがインターネットで豆について調べてた。遂に来たか、と。国家レベルの機密情報がすんなりネットで暴露される時代ですよ。殺傷能力を高める豆の作り方なんてそりゃ出回りますわな。俺ら鬼は、テクノロジーに負けたんだな、と、覚悟を決めたわけ。
でも、画面覗いたらさ、なんか違うのよ。なんか。
クッキー。余った豆でクッキー、みたいな、レシピサイトを見とるわけですよ。
余る?
え、じゃあ例えば戦場で、余った銃弾でネックレス作ろうかな、っていう想像する?
必死でしょ? 生き残るために必死でぶっ放すでしょ?
余った豆でクッキー!? はあ!?
いやもうわけわかんなくて、えー? って思ってたんですけど、はあはあ、あれだ。これは、心理戦だ、と。既に戦いは始まっていた。
多分俺がこう見てること分かってて、こいつわざとやってやがる。
クッキーで油断させといて、いざとなったらものすごいもの投げてくるつもりだ。
気づいてよかった。
今年は何か違う。こちらもそれ相応の準備をせねばなるまい。
と思って、俺もパンツ2重に履いて臨んだのね。
そしたら。
おにわーそと! パシュ。
おにわーそと! パシュ。
なんか、あれ? え、豆全然効かねえ? みたいな。
パンツ2重に履いたから全然効かないのか、と思ったんだけど、なんかおかしい。
で、その、下を見たら、豆がさ、20粒ぐらいずつのラップに包まれて落ちてるのね。
えー!
片付ける気満々じゃーん!
じゃあさ、あれだよ。お前、誕生日にいきなり職場で「おめでとー!」みたいなことになったあと「パンパーン!」ってクラッカーの音が鳴って、「やー、ありがとうー」とか言うんだけど、あれ? 全然紙テープが見当たらないな? って気づいたとき、どう思う?
あー、音だけのやつ買ったんだー。あとで片付けが楽なように、散らからないやつ買ったんだー。って思うわな。
はあ、これが人間お得意の知性ですか。人間って、一刻の感情に流されず、後のこともきちんと考えてる。
鬼も倒せて後片付けもらくちん。しかも拾って食べれる。良いアイデアじゃない。お利口お利口。
おにわーそと! パシュ。
おにわーそと! パシュ。
パシュ、は4回で止んだ。
4個しか包まなかったんだろうな。あとで拾って、広げて、クッキー焼くんだろうな。しかも焼いて食べたあと「あれ、豆無いほうがうまくない?」「ほんとだ豆いらねー」とかキャイのキャイの言うんでしょ!!
で、なんかもう、そういういろんな思いがワーッ! てなって、家を出たよ。飛び出した。怖い。ホント怖い。人間が一番怖い。
あー、だからまあ、鬼を追い出すという点においては、成功してるんだけどね。良かったね。
悪い予感はしてたの。俺そういうとき、右の角の付け根がうずくから。キーンて。
今日の昼くらいかな。
ここの家の奥さんがね、急にインターネットで豆について検索してるから、俺めちゃくちゃ焦って。
遂に来たか、と。遂にこの家から追い出される日が来たか、と。
例えば水飴とピーナッツで豆をあえてカリッカリにしたら、ピーナッツのとこものすごい痛い。殺人豆、や、殺鬼豆が出来上がるわけですよ。
あと単純に油でカラッと揚げたやつでも、できたてめっちゃ熱いからね。あれマジで。マックでポテトの揚げたて食べたことある? あの揚げたてを、クルーが変なヘラでザーってすくってそのままヤー! って投げつけてきたらどう? 熱くて死ぬよね。
だからまあ、俺らを追い出す方法は実際あるわけよ。
で、そう。奥さんがインターネットで豆について調べてた。遂に来たか、と。国家レベルの機密情報がすんなりネットで暴露される時代ですよ。殺傷能力を高める豆の作り方なんてそりゃ出回りますわな。俺ら鬼は、テクノロジーに負けたんだな、と、覚悟を決めたわけ。
でも、画面覗いたらさ、なんか違うのよ。なんか。
クッキー。余った豆でクッキー、みたいな、レシピサイトを見とるわけですよ。
余る?
え、じゃあ例えば戦場で、余った銃弾でネックレス作ろうかな、っていう想像する?
必死でしょ? 生き残るために必死でぶっ放すでしょ?
余った豆でクッキー!? はあ!?
いやもうわけわかんなくて、えー? って思ってたんですけど、はあはあ、あれだ。これは、心理戦だ、と。既に戦いは始まっていた。
多分俺がこう見てること分かってて、こいつわざとやってやがる。
クッキーで油断させといて、いざとなったらものすごいもの投げてくるつもりだ。
気づいてよかった。
今年は何か違う。こちらもそれ相応の準備をせねばなるまい。
と思って、俺もパンツ2重に履いて臨んだのね。
そしたら。
おにわーそと! パシュ。
おにわーそと! パシュ。
なんか、あれ? え、豆全然効かねえ? みたいな。
パンツ2重に履いたから全然効かないのか、と思ったんだけど、なんかおかしい。
で、その、下を見たら、豆がさ、20粒ぐらいずつのラップに包まれて落ちてるのね。
えー!
片付ける気満々じゃーん!
じゃあさ、あれだよ。お前、誕生日にいきなり職場で「おめでとー!」みたいなことになったあと「パンパーン!」ってクラッカーの音が鳴って、「やー、ありがとうー」とか言うんだけど、あれ? 全然紙テープが見当たらないな? って気づいたとき、どう思う?
あー、音だけのやつ買ったんだー。あとで片付けが楽なように、散らからないやつ買ったんだー。って思うわな。
はあ、これが人間お得意の知性ですか。人間って、一刻の感情に流されず、後のこともきちんと考えてる。
鬼も倒せて後片付けもらくちん。しかも拾って食べれる。良いアイデアじゃない。お利口お利口。
おにわーそと! パシュ。
おにわーそと! パシュ。
パシュ、は4回で止んだ。
4個しか包まなかったんだろうな。あとで拾って、広げて、クッキー焼くんだろうな。しかも焼いて食べたあと「あれ、豆無いほうがうまくない?」「ほんとだ豆いらねー」とかキャイのキャイの言うんでしょ!!
で、なんかもう、そういういろんな思いがワーッ! てなって、家を出たよ。飛び出した。怖い。ホント怖い。人間が一番怖い。
あー、だからまあ、鬼を追い出すという点においては、成功してるんだけどね。良かったね。