地下鉄を降りて、階段を昇って、駅の正面のコンビニに寄る。
この街で働き始めてちょうど1年くらい経ったけど、毎日同じ動作をしている。ここが草原だったら完全にけもの道が出来てる。コンビニの中にも出来てる。コーヒーの棚のところへくいっと曲って、甘いパンの前でこう何回か行き来するのでそこは全体的にうすーく草が無くなってて。
それは良いわ。草原じゃないし。コンクリートジャングルですし。
あのー、コンビニがね、昨日はなぜかちょっと混んでた。
まあ、午前中別の場所で用事を済ませてから来たので、正午、ちょうど昼食の時間でね。
まあ、住宅街にぽつんとあるオフィスなので、混み方は都心と比べたら穏やかなもので、怒り方で例えるなら、都心のそれが「死んで詫びろ」みたいな感じならば、こっちの混み方は一口多く食べた彼女に「あ、コラッ」みたいな感じ。可愛い可愛い。可愛い混み方。で、その列の最後尾についたんです。可愛い混み方とデートしたわけです。
前には3人待ってました(可愛いでしょ!)。
で、まあ、すぐ前のおばあちゃんとおばちゃんのハイブリッドみたいな人の番になったんですけど、これがあの、ホットスナックって言うんですか。あのレジ脇のチキンみたいなやつをなんかやたら買い込むんですよ。ただあのよく分かってないので、いちいち店員に、「これは骨があるの?」だことの、「これは辛いの?」「どれくらい辛いの?」だことの聞いて。多分、家に人がいっぱい来てて、なんでもいいから人数分買おうとしてる感じの。「あじゃあ辛いのやめて、肉まんにするわ」「えー!」みたいな。俺「えー!」って言っちゃったかもしれない。
ときに、レジの待ち時間は、以下の式で決まる。
掛け算に現れる項は品数であるので、普段は品数が一番効いてくる。スーパーでどこに並ぶかを考えるときは、人の数を数えるより、並んでる人たちが持ってる品数の総和(と店員が見習い期間じゃないかどうか)を見たほうが良いと思う。
一方で、コンビニとか、一人当たりの品数が少ないときは、こちらはあまり関係なくなって、「客のめんどくさい時間」が最大限に効いてくる。
だから、コンビニでめんどくさいことをすると最悪である。一人のめんどくさい客が、ぐいぐいぐいぐい待ち時間を押し上げるのである。
そんなことをもやもや考えながら待っていると、おばあちゃんがホカホカの肉まんを持ってホカホカと出ていって、店員が、「お待たせ致しましたー!」
ほら。「お待たせ致しましたー」が出ましたよ。これが出たときは、あれだよ、前の人は自覚するべきだよ。自分がお待たせの根源であることを。妖怪オマタであることを。
レジの前に到達した俺は持っていた甘いパンを裏返して差し出す。それをバーコードがピッ。ここですよ。こういうことですよ。店員のレジ打ち速度は、客との連携でも向上する。前の客のロスは、俺が取り戻す!!! 両隣のレジをごぼう抜きじゃーい!
コーヒーと甘いパンで、230円。
お金を出そうとしたのですが、あのー、思い出しまして。請求書をね、今日中に送らないといけないやつが1個あって。請求書送らないと、俺お金もらえないですから。今後甘いパン買えないですから、すぐに請求書を送らないといけない。
請求書を送るには切手を貼らなければいけない。したがって、切手を買わなければいけない。
「えっと、80円切手……」
まで言ったんですけど、あれ、80円で良かったっけ、ってなって。
というのも、前書いたかもですけど、俺普段は郵便物は郵便局にわざわざ行って出してるんです。だから、なんだろ、局員さんに封筒の重さ計ってもらって、言われるがままにお金を払ってるので、封書の値段が定かではない。
「あの、普通の封書って、80円で良いんでしたっけ」
まさかの店員に聞くパターン。
「ちょ、ちょっとお待ちください」
隣のレジの人に聞いてる。隣の人はめんどくさそうに「大抵80円じゃないの、知らない」
ごめん、ほんとごめん。多分80円だわ。いや、90%そうだと思ったんだけど、残りの10%を埋めたいエゴで余計なことをしてしまった。
「あ、あのすいません80円切手買います!」
「重さによるんだっけ」「えー」とかフワフワした店員同士の会話を強引に断ち切る。
めんどくさい時間を使ってしまった。これを取り戻すには店員が戻る間に310円。310円を先に用意する! これでさっきのロスをリカバリする! あ、無いわ。
「あ、あの、えっと、10000円から……で……」
とぼとぼと店を出る俺の後ろで、「大変お待たせ致しましたー!」と聞こえてきた。
この街で働き始めてちょうど1年くらい経ったけど、毎日同じ動作をしている。ここが草原だったら完全にけもの道が出来てる。コンビニの中にも出来てる。コーヒーの棚のところへくいっと曲って、甘いパンの前でこう何回か行き来するのでそこは全体的にうすーく草が無くなってて。
それは良いわ。草原じゃないし。コンクリートジャングルですし。
あのー、コンビニがね、昨日はなぜかちょっと混んでた。
まあ、午前中別の場所で用事を済ませてから来たので、正午、ちょうど昼食の時間でね。
まあ、住宅街にぽつんとあるオフィスなので、混み方は都心と比べたら穏やかなもので、怒り方で例えるなら、都心のそれが「死んで詫びろ」みたいな感じならば、こっちの混み方は一口多く食べた彼女に「あ、コラッ」みたいな感じ。可愛い可愛い。可愛い混み方。で、その列の最後尾についたんです。可愛い混み方とデートしたわけです。
前には3人待ってました(可愛いでしょ!)。
で、まあ、すぐ前のおばあちゃんとおばちゃんのハイブリッドみたいな人の番になったんですけど、これがあの、ホットスナックって言うんですか。あのレジ脇のチキンみたいなやつをなんかやたら買い込むんですよ。ただあのよく分かってないので、いちいち店員に、「これは骨があるの?」だことの、「これは辛いの?」「どれくらい辛いの?」だことの聞いて。多分、家に人がいっぱい来てて、なんでもいいから人数分買おうとしてる感じの。「あじゃあ辛いのやめて、肉まんにするわ」「えー!」みたいな。俺「えー!」って言っちゃったかもしれない。
ときに、レジの待ち時間は、以下の式で決まる。
Σ 店員のレジ打ち速度 × i番目の客の品数 + お金のやりとりに掛かる時間(定数) + i番目の客のめんどくさい時間
掛け算に現れる項は品数であるので、普段は品数が一番効いてくる。スーパーでどこに並ぶかを考えるときは、人の数を数えるより、並んでる人たちが持ってる品数の総和(と店員が見習い期間じゃないかどうか)を見たほうが良いと思う。
一方で、コンビニとか、一人当たりの品数が少ないときは、こちらはあまり関係なくなって、「客のめんどくさい時間」が最大限に効いてくる。
だから、コンビニでめんどくさいことをすると最悪である。一人のめんどくさい客が、ぐいぐいぐいぐい待ち時間を押し上げるのである。
そんなことをもやもや考えながら待っていると、おばあちゃんがホカホカの肉まんを持ってホカホカと出ていって、店員が、「お待たせ致しましたー!」
ほら。「お待たせ致しましたー」が出ましたよ。これが出たときは、あれだよ、前の人は自覚するべきだよ。自分がお待たせの根源であることを。妖怪オマタであることを。
レジの前に到達した俺は持っていた甘いパンを裏返して差し出す。それをバーコードがピッ。ここですよ。こういうことですよ。店員のレジ打ち速度は、客との連携でも向上する。前の客のロスは、俺が取り戻す!!! 両隣のレジをごぼう抜きじゃーい!
コーヒーと甘いパンで、230円。
お金を出そうとしたのですが、あのー、思い出しまして。請求書をね、今日中に送らないといけないやつが1個あって。請求書送らないと、俺お金もらえないですから。今後甘いパン買えないですから、すぐに請求書を送らないといけない。
請求書を送るには切手を貼らなければいけない。したがって、切手を買わなければいけない。
「えっと、80円切手……」
まで言ったんですけど、あれ、80円で良かったっけ、ってなって。
というのも、前書いたかもですけど、俺普段は郵便物は郵便局にわざわざ行って出してるんです。だから、なんだろ、局員さんに封筒の重さ計ってもらって、言われるがままにお金を払ってるので、封書の値段が定かではない。
「あの、普通の封書って、80円で良いんでしたっけ」
まさかの店員に聞くパターン。
「ちょ、ちょっとお待ちください」
隣のレジの人に聞いてる。隣の人はめんどくさそうに「大抵80円じゃないの、知らない」
ごめん、ほんとごめん。多分80円だわ。いや、90%そうだと思ったんだけど、残りの10%を埋めたいエゴで余計なことをしてしまった。
「あ、あのすいません80円切手買います!」
「重さによるんだっけ」「えー」とかフワフワした店員同士の会話を強引に断ち切る。
めんどくさい時間を使ってしまった。これを取り戻すには店員が戻る間に310円。310円を先に用意する! これでさっきのロスをリカバリする! あ、無いわ。
「あ、あの、えっと、10000円から……で……」
とぼとぼと店を出る俺の後ろで、「大変お待たせ致しましたー!」と聞こえてきた。
こんなのも書いたよ。