2011-12-05   思考  
地下鉄を降りて、階段を昇って、駅の正面のコンビニに寄る。

この街で働き始めてちょうど1年くらい経ったけど、毎日同じ動作をしている。ここが草原だったら完全にけもの道が出来てる。コンビニの中にも出来てる。コーヒーの棚のところへくいっと曲って、甘いパンの前でこう何回か行き来するのでそこは全体的にうすーく草が無くなってて。

それは良いわ。草原じゃないし。コンクリートジャングルですし。
あのー、コンビニがね、昨日はなぜかちょっと混んでた。
まあ、午前中別の場所で用事を済ませてから来たので、正午、ちょうど昼食の時間でね。

まあ、住宅街にぽつんとあるオフィスなので、混み方は都心と比べたら穏やかなもので、怒り方で例えるなら、都心のそれが「死んで詫びろ」みたいな感じならば、こっちの混み方は一口多く食べた彼女に「あ、コラッ」みたいな感じ。可愛い可愛い。可愛い混み方。で、その列の最後尾についたんです。可愛い混み方とデートしたわけです。

前には3人待ってました(可愛いでしょ!)。
で、まあ、すぐ前のおばあちゃんとおばちゃんのハイブリッドみたいな人の番になったんですけど、これがあの、ホットスナックって言うんですか。あのレジ脇のチキンみたいなやつをなんかやたら買い込むんですよ。ただあのよく分かってないので、いちいち店員に、「これは骨があるの?」だことの、「これは辛いの?」「どれくらい辛いの?」だことの聞いて。多分、家に人がいっぱい来てて、なんでもいいから人数分買おうとしてる感じの。「あじゃあ辛いのやめて、肉まんにするわ」「えー!」みたいな。俺「えー!」って言っちゃったかもしれない。

ときに、レジの待ち時間は、以下の式で決まる。
Σ 店員のレジ打ち速度 × i番目の客の品数 + お金のやりとりに掛かる時間(定数) + i番目の客のめんどくさい時間

掛け算に現れる項は品数であるので、普段は品数が一番効いてくる。スーパーでどこに並ぶかを考えるときは、人の数を数えるより、並んでる人たちが持ってる品数の総和(と店員が見習い期間じゃないかどうか)を見たほうが良いと思う。

一方で、コンビニとか、一人当たりの品数が少ないときは、こちらはあまり関係なくなって、「客のめんどくさい時間」が最大限に効いてくる。
だから、コンビニでめんどくさいことをすると最悪である。一人のめんどくさい客が、ぐいぐいぐいぐい待ち時間を押し上げるのである。

そんなことをもやもや考えながら待っていると、おばあちゃんがホカホカの肉まんを持ってホカホカと出ていって、店員が、「お待たせ致しましたー!」
ほら。「お待たせ致しましたー」が出ましたよ。これが出たときは、あれだよ、前の人は自覚するべきだよ。自分がお待たせの根源であることを。妖怪オマタであることを。

レジの前に到達した俺は持っていた甘いパンを裏返して差し出す。それをバーコードがピッ。ここですよ。こういうことですよ。店員のレジ打ち速度は、客との連携でも向上する。前の客のロスは、俺が取り戻す!!! 両隣のレジをごぼう抜きじゃーい!

コーヒーと甘いパンで、230円。
お金を出そうとしたのですが、あのー、思い出しまして。請求書をね、今日中に送らないといけないやつが1個あって。請求書送らないと、俺お金もらえないですから。今後甘いパン買えないですから、すぐに請求書を送らないといけない。
請求書を送るには切手を貼らなければいけない。したがって、切手を買わなければいけない。

「えっと、80円切手……」

まで言ったんですけど、あれ、80円で良かったっけ、ってなって。
というのも、前書いたかもですけど、俺普段は郵便物は郵便局にわざわざ行って出してるんです。だから、なんだろ、局員さんに封筒の重さ計ってもらって、言われるがままにお金を払ってるので、封書の値段が定かではない。

「あの、普通の封書って、80円で良いんでしたっけ」

まさかの店員に聞くパターン。

「ちょ、ちょっとお待ちください」

隣のレジの人に聞いてる。隣の人はめんどくさそうに「大抵80円じゃないの、知らない」
ごめん、ほんとごめん。多分80円だわ。いや、90%そうだと思ったんだけど、残りの10%を埋めたいエゴで余計なことをしてしまった。

「あ、あのすいません80円切手買います!」

「重さによるんだっけ」「えー」とかフワフワした店員同士の会話を強引に断ち切る。

めんどくさい時間を使ってしまった。これを取り戻すには店員が戻る間に310円。310円を先に用意する! これでさっきのロスをリカバリする! あ、無いわ。

「あ、あの、えっと、10000円から……で……」


とぼとぼと店を出る俺の後ろで、「大変お待たせ致しましたー!」と聞こえてきた。








2010-11-29   思考  
お弁当とか総菜を買うと、コンビニの店員が「温めますか?」って聞いてくる。

で、あの、たまに、不意をつかれることがありません? ものすごくたまに、「えっ、これ温めるの?」みたいなやつで聞かれることがある。

それはたとえば一見普通のチョコパンだったり、おにぎりだったりするんだけど、まあ、一般的には、温めないでも食べられるもの。
あとからパッケージを見直すと「温めるとさらにおいしく召し上がれます」と書いてあって、「ああ、なるほど確かにこのチーズ部分がとろけたら旨かったかもなあ」とか思うこともあるんだけど、あのー、まったくそんなこと書いてないときがあるんですわ。

そういうときってさ、あれ、あの「温めますか?」はさ、店員のオリジナルで言ってるよね?
勝手に言ってることありますよね?

ときに、俺、弁当以外の「温めますか?」はめんどくさいので断ってしまうんだけど、言われたとき、帰ったあとパッケージを確認する。
で、パッケージに「温めるとさらにおいしく〜」って書いてなかったとき、ああ、あれは「この商品、温めて食うと旨いんだぜ!」っていう店員のオリジナルメッセージだったのか、と気づいて、ちょっと心が痛む。

空き時間に自分でやったんだろうか。
めちゃんこ旨かったんだろう。
みんなにも、食べてもらいたかったんだろう。

店員のホットなはからいを断ってしまった。いや、ちがうの。俺は、弁当以外の温めを全面的に断ってるの。でも、あれだよ、僕のかんがえた温めですって言ってくれたら、「あ、じゃあ、お願いしてみよっかな」ってなったよ。弁当のテンションで「温めますか?」って言わないでよ!! 気づいたあと、ちょっと悲しくなってしまうから。


このまえ仕事場近くのコンビニで「温めますか?」と聞かれた。
買ったのはただのデニッシュ。季節限定で芋の何かが入ってる。芋は好きではないけど、外のパンが好きなので買った。

ただのデニッシュに「温めますか?」ときた。

これは、明らかに、オリジナルの温めである。もしかしたら、スイートポテトのようになるのかもしれない。だとしたら新発見である。あー、なんか旨そうな気がしてきた。この季節の定番になる可能性も高い。ほかのコンビニで買うときも、俺のほうから、「あ、これ、温めてください」とか言ってしまう日が来るかもしれない。


「お願いします」


デニッシュがパッサパサ!!!








2010-09-28   思考  
最近は仕事で下北沢あたりをふらふらしているのですが、コンビニの壁に、こんなやつが貼ってありました。



知ってるわ! 大体落書き禁止だわ! 
えっていうか、これを見てさあ、普通の人は「はあ?」ってなるし、悪いやつも「はあ?」ってなるしで、誰にも届いてないよ。この思い、誰にも、届いてないよ!

いやー、まあ、なんつーかですけども、あれですね。こんなのもお願いしないといけないのかね、と不安になる。

当たり前のことをお願いする。

これねー、小学校時代の「あいさつ運動」みたいなやつから端を発してると思うよ。
当たり前のやつを「運動」にしてしまうと、なんだろ、それ以外のときはいいのか、みたいなことになるじゃないですか。
いやまあ、「運動中にあいさつの良さに目覚めてほしい」みたいな、「100円セールのうちにドーナツのおいしさに目覚めてほしい」みたいなことだと思うんですけど、あいさつ運動ほど、なんだろ、もやもやする運動は無かった。する奴はさらにはりきってするし、しない奴はますますしない。あいさつ貧富の差がますます開くばかりの、悲しい運動だった。

あと、この前電車乗ってたら「今週は電車の安全週間です。線路に石を置いたりしないようにお願いいたします」

しないし! する奴はするし! むしろ「する遺伝子を持っててそういういたずらを忘れかけてた奴」がするし!
あと都心の電車は踏切殆ど無いからやるにもすげえ難しいし! 石をそ~っと高架から落とすしかないし! 線路の上に乗っかったらキセキだし! 絶対明日告白成功すっし! ヒロ君振り向いてくれっし! それ友達に話したら瞬く間に広まってしまい、恋占いの石でせき止められる田園都市線。

それはいいわ。あのー、落書きね。じゃあどうやったら落書きが無くせるかっていうあれですけども。

あのー、なんか最近あるのは、先に絵を描いちゃうってやつね。園児が描いた絵みたいなのも効果的らしいですね。それを壊すのは、まあ、かなり抵抗がある。

まあでもこれは、あれですよ。そろそろ、免疫が出来て来た悪い奴ら居ますよ。抗生物質とウイルスの戦いよろしく、こういうのはいたちごっこですから。免疫ができたら新しい方法を考えなければいけない。

あのー、次は、神仏とか、いいんじゃないかな、と思います。
神仏はやっぱり、どんな人間も、こう、どっかで畏敬の念を抱いてますからね。

お札を貼る、とか。

地獄の絵を描く、とか。
鬼が「こうなりたいのかー」みたいなこと言ってても面白いかもです。

あとは、キリストが浮かび上がってる、みたいなことにするとか。熱心なキリスト教徒の列が途絶えることがないコンビニの壁。

おにぎりも飛ぶように売れる。キリスト様様やで〜!




2008-09-09   思考  
近所のサークルK建設予定地で、経営者を募集している。

っていうか、経営者居ないのにサークルK作るってことは決まってるんだ。
何だそりゃ。楽器できないけどバンドやりたいみたいな。何だそのフワフワした感じは。やめろやめろ。絶対失敗するから。
あーでもなー、モテたいからバンドはじめましたーとかいうノリのほうがポンポン行くこともあるんだよなー。難しいよねー。

バンドの話はいいや。で、サークルK、最近工事始まって結構出来てるんですけど、まだ「経営者募集」の看板が掛かってる。まだ見つからないんだ。今頃、必死になって見つけてるんじゃなかろうか。家中のタンスをひっくり返したりして。

いや、実際問題、あの立地はどうかと思うよ。隣にマンションが建つので、まあ、その絡みでコンビニを、ということになったんだろうけど、マンションも数十世帯くらいだし、近くにファミマ有るし。うーん。儲からないことは無いと思うけど、でも、そこそこしか儲からんよ。それで、経営者やろうってのは現れないような気がする。

経営者捜しがもっと必死になったら面白いなあ。サークルの中にあなたの顔を入れますから! みたいな。入りたくないけども。二重丸にしますから! みたいな。

まあ俺はファミマ派なので、もしサークルKが開店したとしてもファミマ行くなあ。ファミマはプリンが結構充実している。プリンを良く買うんだけど、そこのファミマはよく考えられていて、ちゃんと、毎回違うプリンが置いてある。置いてあるのである。で、こう、1ヶ月くらいのサイクルで戻ってくる、みたいな。限られたスペースで、ちゃんとローテーションさせてるのだ。これは嬉しいじゃないか。こういうことなんですよ。サークルKは、Kをサークルで囲ってる場合じゃないよ。ホントに。

ただ、納得いかないのは、あの、プリンとかモンブランとか、あの、パカッてふたを開けるタイプのデザートで、なんだろ、ふたと容器を覆うように、ビーッてテープ状のシールが貼ってあるじゃないですか。「栗原さんちのおすそわけ」みたいな、商品名書いてあるテープみたいなのが。何て言うんすか、あの、おでんの容器を止めるときのセロハンテープの無駄使いみたいな止め方に近い。
で、蓋を開けるために、そのシールをこうはがすんですけど、あれの粘着力がものすごくて、シール取ったあと、あの、容器がベッタベッタしてるのね。
なんか、あれが、ものすごく納得いかないんすわ。美味いんですけど、容器がベッタベッタしてるの。あー! もう! ベッタベッタ! や、これがお新香とかなら普通に食べる気がするんですよ。容器ベタベタでも、ポリポリ食べる気がする。でも、栗原さんちのおすそわけがベッタベッタしてたらどうだろう。栗原さんデザート作る直前に何触ってたんだろ。




2008-05-26   思考  
 弁当買ったんすよ。
 コンビニで一番安いのり弁。

 美味いわけないじゃないですか。あんなもんね。油っぽいちくわに、油っぽいきんぴら。油っぽい白身魚フライ。変なコロッケ。で、もそもそと食べてたんですけど、あの、コロッケをかじったら、カレーコロッケだったんですよ。何その演出。安かろう悪かろうの弁当が、何びっくりさせようとしてんの。あんたみたいなんがそんなことしたって好きになってあげないんだから! でも、ちょっと、嬉しかったかも……いや、でも相手はのり弁よ! 考え直すのよ幸子!

 こんなもんだろ、みたいな評価を与えていたものにちょっとびっくりさせられると嬉しくもあり腹立たしくもあり、みたいなあの感情。

 就職活動してた時期に、俺、大学は仙台だったんだけど都内の小さい会社を中心に受けてたんで、よく東京に出てきてたんです。
 で、ある日、会社近くのめっちゃ安い旅館に泊まったんですよ。学生だったから、都内で一番安い、みたいなので検索してね。
 そこが、ほんっとにボロッボロで。立て付け悪くてドア開かないし、「ごめんくださーい」って言ってもぜんっぜんババア出てこないし。シャワーちょろっちょろだし。ふとんぺらっぺらだし。最低な旅館だな! と思いながらも、まあそういうのはあんまり気にしないのでぐうぐう寝て、次の日の朝スーツに着替えて出て行こうとしたとき、ババアが。

「頑張ってね」
「はあ、え?」
「就職活動でしょ? ここはそういう人が良く泊まっていくの」
「ああ、そうなんですか」
「ここに泊まった人はみんな合格するんだから」
「え、そうなの」
「いってらっしゃい」
「い、いってきます」

なんのドラマだよ、と思って腹立たしくもあり、でも、ちょっと、嬉しかったんだ。
東京のボロ旅館で、俺は初めて、温かい声を、かけられた。

面接は落ちた。
あと最近この旅館の近くを通ることがあったんだけど旅館無くなってた。




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