2011-03-14   思考  
●3/18追記
救援物資の受付をはじめてる自治体があるみたいなので、個人で何か送りたいって人、今なら送れるぜ! まとめて被災地へ送ってもらえます。自分の市とかのホームページをチェックだ! 例えば東京都。以上、追記終わり!


いやー。自分がまさかなるとは思わなかったけど、突然、被災地になんか送りたい! みたいなことを考えて、行動しようとしてしまった。
ちなみに、知識として、被災地に何か送るのは迷惑、というのは知ってる上です。ほんとに。

それでも一瞬判断を誤ったので、今日は、なんでこういう考えに至ったかっていうのを書いてみようと思います。

なんだろ、テレビで、亘理のボランティアの人が、「紙おむつが足りない」みたいなことを言ってたんですね。
仙台に住んでたので、ものすごくリアルに分かる地域で。
あと、その、紙おむつが無い状態ってのが想像つくだけに、えー、めちゃくちゃかわいそう! って思ってしまったわけ。赤ちゃんは被災地でもきっと元気にうんちとおしっこを繰り返すわけでしょ。あとお年寄りで必要な人も居るか。

で、そう、支援としてね、募金でも良いんだけど、それって復興だとかあとの話であって、なんつーの、今、今足りないのがめちゃくちゃ困るじゃん! って、変なスイッチが入ってしまったわけです。

繰り返すけど、個人で送るのは迷惑、ということは知識として知ってる。ガンガン知ってる。
でも、今送りたいなー。
そのジレンマと戦ううちに、じゃあ、そもそもなんで迷惑なのか、というのをゼロベースで考えはじめてしまった。
そのうち、例えば孫さんがラーメン何万食送ったとかいう話が(ホントか知らないです、デマっぽいですけど)あって、え、じゃあ何、迷惑かそうでないかは数で決まるの? っていう引っ掛かりを見つけてしまった。
個人の送付は、仕分けが大変だからダメ、という話がある。これも規模が少ないから起こる問題だ。じゃあ例えば俺が100万円分の紙おむつを"一度に"送ったらもしかして迷惑じゃないの?(紙おむつをそんなに買い占められるかはおいといて)。

そうなってくると、なんだろ、「被災地にモノを送るのは迷惑」という意見って、実はものすごい思考停止なんじゃないか、という疑念が湧いてきたわけです。

もしそうだとしたら、いいよ、法人規模で送ればいいの? ちゃんと向こうに聞いて大量に送ったらいいの?
それか、もし俺一人で無理だったとしても、例えばグーンはんとかにお金をみんなで送ったらグーンはんとかがグングン紙おむつを被災地に飛ばしてくれるとか、そういうの。そういうの企業でやってないのかな、もしくは、そういう働きかけができないの? とか思って、一応ツイッターのみんなに聞いてみよう、と思ったわけです。

結果。怒られまして。
今考えると、大量に送ることこそ迷惑で、被災地側でコントロールできないものが大量に送られてきたらキレるわ。そうなったら懺悔するしかない。大量に余った紙おむつでぐるぐる巻きにされて三陸沖に放り投げられてフカのエサになる。フカ釣れる。皆喜ぶ。許してもらえますかね。フカヒレでなんとか許してもらえますかね。

で、冷静になってみて、これ、なんだろな、と。
思ったのは、これは、知識不足とかではない。

想像力が無いから。

被災地の中枢が何やってるかを想像してない。
そもそも、具体的なモノを個人で送ろうっていう考えは、中枢が支援物資集めや分配に失敗している、という前提から成り立ってる。

現実には、現場で「無い無い」言ってんだから、それを受けた中枢は着々と対応しとるわけです。で、依頼を受けた上で企業も協力してるはずで。みんな解決に向けて動いているはずで。
それでも、もし、本当に足りないものがあれば、メディアを通じて「送ってくれ」と言うに違いない。

でも、その、見えないところでみんなが解決に向かって動いている、という想像ができないバカが居る。ここに。
欠乏の一瞬を切り取っただけの映像を見て、「これはまずい!」と外野が思ってしまう。

なんつーか、これって、こっちは一生懸命勉強やってるのに「勉強しなさい!」「勉強しなさい!」とどんどんお勉強グッズを買ってくる母親、みたいなのに似ている。
家庭教師をしていた頃、そういう母親を持つ生徒が居た。
俺は大手の家庭教師派遣会社に所属してたので、そこが開発したテキストを原則使うことになってた。
でまあ、えっと、一応教育のプロが作ったテキストなので、ちゃんとできてるわけ。
それでも、母親自身が選んだ勉強グッズを押し付けられることが何度かあった。
一回、全然違う教科書のやつを買ってきたことがあって、「あ、この人全然知らねえ!」と思った。
成績ってすぐに伸びる教科と伸びない教科があって、例えば理科は章ごとに扱うものが違うので、がんばりはすぐテストの点に現れるんだけど、数学はある程度の蓄積モデルだったりするので伸びない。そうすると母親は焦る。でも、待って。基礎からやってるから、ちょっと待って、お母さん、もうちょっと待って。大丈夫だから。それより、その参考書買う金でうまいもん出してくれ。ケーキ。あの家ケーキは美味かったな。ケーキ出してくれ。あと外壁直して。なぜか遺跡のように崩れてた。外壁直して。

なんか、それを思い出した。

お母さんだって、多分頭では分かってるんだと思う。だって、高い金を払って家庭教師を雇ってるんだから、その授業を邪魔するのはまったくもって不条理な選択。だから、邪魔する気なんて無くて、でもその上でほんとによかれと思ってやってる。
こういう人を説得するのは難しい。頭ごなしにいっても、こっちの言葉は向こうの信念にかき消されてしまう。

だから、みなさんも、「被災地になんか送りたいブ〜!」って言っちゃう人を見かけたら、知識の無さを叱っても、もしかしたらその人には響かないかもしれません。「被災地に個人で何か送るのは迷惑」という前提は、けっこうな人が知ってるんじゃないかなと思います。多分その人は、それを認識した上で「でも今画面の向こうで物資が足りてない、自分が何かしなきゃ!」って決意しちゃったんです。

で、彼ら(昨日の俺含む)に足りないのは想像力なので、「もっと現地で働いてる人を信じてあげて。多分君よりずっと経験のある人が情報をまとめて対応中だから、それを邪魔しないであげて。もし公式にあっちから『ほんとに足りないから助けて』って言われたらたくさん送ろうぜよ」と、そのあたりを分かりやすく言ってあげると効果的かもしれませんよ、と思いました。思いましたよ。

ということで、現地に任せた。お金しか送れませんが、がんばってください。

あと、近日中に関東でもでっかいの起こるかもなのでそしたらお金ください。


(一部なんか文章が通ってなかったから追記したよ)
(あとなんか一見昨日俺を止めてくれた人の止め方批判っぽくなっちゃってるかもと思ったけどそんなことないよ。その節はありがとうございます。当時の心境から、効果的な止め方を考えてみたまでです)







前後に書いたやつ。
東電がんばれ[2011-03-18]
中山を散歩しました[2011-03-11]
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