やっと、来週、うちのアパートに光ファイバーが来る。

　あのー。ちょっと過去ログを見直したら、２００４年の１月に申し込んでいる。
ありえないだろ。２年て。２年がかりの工事て。どんだけ困難を極める工事なんだ、と。ちょっとした橋が出来る。

　あのー、なんだろ、１回、去年の夏くらいかなあ、業者に電話したんですよ。そしたら、担当者が、「ええと、アパートの管理会社には了解を頂いたのですが……まあ」と、どうも歯切れが悪い。よくよく聞いてみると、なんだか、住民の中に、工事を猛烈に反対している人が居るらしい。で、まあ、ピンと来ました。一般的に少々強引でさえある工事業者をここまで怯えさせるほどの権力をお持ちの方は、あの人しか居ない。

　あの、うちのアパート、地下がキャバクラなんですよ。で、多分そのつながりで、最上階に、やくざっぽい方がお住まいになられていましてですね、まあ、そこかな、と。そこしかありえないな、と。
　なんで反対してるのかは全く謎なんですけど、まあ、多分、闇の世界の住人は「光」とかそういう単語が嫌いなんだろう、と。「光だとう？　駄目だ駄目だ！」みたいな感じで、わけもわからず反対してるんだろう、と。勝手に納得していたわけですが。

　で、今回２年越しで開通したということは、なんか、あったんだろう。「光ファイバーは、速くて便利じゃのう」みたいなことを言い出すきっかけが、なんか、あったんだろう。

　やくざで思い出したわ。あのー、学生時代って旅行するにも極限までお金切り詰めるじゃないですか。だから、あのー、よく、健康ランドの仮眠室に泊まってたんですわ。あのー、薄暗い部屋に、リクライニングみたいなのがこうダーっと並べられている。
　で、あのー、一回、仮眠室で、俺と友達以外みんなやくざ、ってのになったことある。起きたら、なんか、前後左右に、絵が入った人たちがいっぱいお休みになられていて、あれ、これ、上から見たら大きな一つの絵にでもなってるんじゃねーか、みたいな。俺たちの無地も、多分なんかうまいこと絵に生かされてる。白目、とかに利用されている。

　まあ、それはいいんだけど、あのー、光ファイバーね。あのー、実は、こう、２年経った今、意外と、どうでもよくなってきている。なんだろ、業者の煮え切らない態度を見て、ああ、もう光こねえな、と判断したので、ADSLを敷いてしまったんですわ。で、まあ、現在、特に不自由は無い。
　そこに、「お待たせ！　みんなが待ってた光だよー！」みたいに来られても、明らかに、こちらサイドと温度差がある。なんだろ、旦那が戦場で死んだので再婚したのに、なんかひょっこり帰ってきた、みたいな感じで、なんだろ、そりゃ嬉しいけど今の生活があるのでちょっと困る、みたいな。
　や、光来たら、メインのプロバイダを変えなきゃだし。そしたらメインのメアドが変わるので、なんやかんやの登録メールアドレスを変えて歩く必要がある。正直めんどい。光めんどい。

　工事の業者の、「すいませんお待たせして！　工事いつにしましょう。早目がいいですよね！」という、こう、僕らは望まれているんだ、という態度にもいちいち腹が立つ。光いらねえ。あ、光いらねえわ。